アルーシャ工科大学灌漑人材育成能力強化プロジェクト

  • 種別:技プロ
  • 案件名:アルーシャ工科大学灌漑人材育成能力強化プロジェクト
  • 実施地域:アルーシャ工科大学(アルーシャ州アルーシャ市内)
  • 協力期間:2014年6月〜2017年5月
  • 実施機関:アルーシャ工科大学、教育・職業訓練省
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専門家の支援で整備したATC構内圃場にて、圃場実験の方法を指導

タンザニア国では人口の約4分の3が農業に従事していますが、灌漑開発が進んでいないため多くの農民は天水に依存せざるを得ない状況にあります。灌漑面積は46.1万ha(2013年)にとどまり全農地に占める割合は4%程度に過ぎず、安定的な農業生産を確立する上で大きな阻害要因となっています。こうしたなかタンザニア政府は2009年8月に「Kilimo Kwanza」(農業第一)を掲げて農業を最重要セクターと位置づけ、開発を進めてきました。なかでも特に重要視されているのが灌漑開発です。

タンザニアが抱える灌漑開発推進上の大きな課題のひとつとして、灌漑開発を担う灌漑技術者(エンジニア、テクニシャン等)の不足が挙げられます。タンザニアの全国7箇所の灌漑ゾーン事務所(国)、州、県ともに、灌漑の技術者は大幅に不足しており、この喫緊の課題を解決すべく、タンザニア政府はアルーシャ工科大学(ATC)に土木灌漑学科を設置し、灌漑人材を育成するための教育を開始し(エンジニアコースは2010年9月、テクニシャンコースは2011年9月に開始)、2014年1月には初めての灌漑エンジニアの卒業生を輩出しました。JICAは技術的・専門的観点よりATCの体制強化を図るため、2名の長期専門家を派遣(2011年6月〜2014年5月)して、ATCによる学科の実施運営能力の強化を図ってきました。

ATC土木灌漑学科の教育は更なる改善を必要としています。つまり、構内実験圃場のさらなる活用、構外実験圃場の設計、施工、利用計画策定に向けた取り組み、実験装置を用いた効果的な授業の展開、実践的知識や、経験を習得する機会としての学生実習の改善など、質の高い灌漑人材の育成に向けて取り組むべき課題が多数存在しています。本協力は、上記の課題に引き続き取り組み、とりわけ水文学および灌漑施設設計に係る教育モジュールの改善、土木灌漑学科のカリキュラムの改善案提示等を通じ、ATCの灌漑人材育成能力をさらに強化することを目標としています。