水資源・防災

セクター概要

タンザニア政府の「ビジョン 2025」では、2025年までにそれぞれ人口の90%(農村部)、及び100%(都市部)が安全な水にアクセスできるようにすること、水資源管理能力を強化すること等が掲げられています。また、「成長と貧困削減のための国家戦略2 NSGRP2/MKUKUTA2)」では、水供給率の向上が最重要課題の一つとして位置づけられています。タンザニアでは、「国家水政策」及び「国家水セクター開発戦略」に基づき、水セクター開発プログラム(WSDP)が実施されています。

日本はタンザニア政府のWSDPに沿って、2017年までタンザニア本土の農村部における安全で清潔な水へのアクセスの改善、コミュニティによる水管理の能力開発を含む、限られた水資源の持続的かつ有効な利用の促進に重点を置いた支援を、能力開発活動とともに多数の無償資金協力で行ってきました。

近年は、2006年に支援を開始したザンジバルの都市部の水供給に重点を置き、リソースを集中し、よりプログラム化されたプロジェクトを集中的に実施することで、より効果的な支援を行っています。

ザンジバルでは1920年代に水道事業が開始され、1935年には給水・接続基準や料金体系を定めた本格的な水道事業の運営を開始しました。1963年にザンジバルが独立すると、ザンジバル革命政府(RoGZ)が公営水道事業体の運営を引き継ぎ、1982年には家庭用水供給が無償化され、費用負担は国税で行われるようになりました。

しかし、1990年に給水人口が20万人に達する頃になると、RGoZは資金不足から施設の拡張や新たな水源開発に困難をきたすようになりました。以来、長時間の断水や低水圧など水道サービスの質の低下が課題となっています。これは主に、配管の老朽化や施設の建設・修繕・更新工事の計画不備による漏水の頻発が原因となっています。ザンジバル水公社(ZAWA)は、RoGZがより良いサービス品質で財政的に持続可能な水道サービスを運営するために2008年に設立されました。しかし、ZAWAは水道料金の徴収、維持管理、施設の改修・拡張など、財政的・技術的な課題を抱えています。

2002年1月に策定された「ザンジバル・ビジョン2020」は、安全な水へのアクセスを確保することを目的としています。そのために、信頼できる水を支払い可能な料金で供給するための管理システムの確立、全ての水利用者に対して効率的かつ効果的に水道料金を請求・徴収するシステムの確立など、具体的な目標が掲げられています。

ザンジバルで安全な水にアクセスできる人口は、2014/15年時点でそれぞれ農村部では88.3%、都市部では98.4%であり、2020年には100%アクセスを達成することになっていました(MKUZA III, 2015)。しかし、料金徴収率の低さや施設管理能力の不足から、施設の拡張やリハビリは十分には実施されていません。その結果、水道施設の老朽化が進み、60%と言われる高い漏水率、平均6時間以下の短い給水時間などに代表されるサービスレベルの停滞を招きました。その結果、人々の水道サービスに対する支払い意欲は低下し、ZAWAの経営環境は悪循環に陥っています。

日本は、ZAWAが公共水道事業体としてより良い事業運営を行うために、ZAWAの経営能力向上やインフラ投資、維持管理能力の強化などを支援しています。また、現在、日本は地下水資源への過度な依存による塩害を回避するため、中長期的な水資源管理の支援を行う予定です。

日本は、現在および過去の協力の実績を踏まえ、深刻な問題とされている都市部における持続的かつ安定的な水供給を引き続き支援していく予定です。