サワディカップ、こんにちは
2011年4月20日、タイ事務所所長として着任しました。これまで、インドネシアに2回、カンボジア、そして、このタイが4回目の長期赴任となります。これまで滞在した国と比べると、中進国入り直前のタイにおけるJICAやODAの果たす役割はやや異なる側面があると感じております。
タイ政府が自らの予算と人材で主体性を持って開発を進めていく姿勢、民間主導の持続的な経済成長、そして活気のある発展振りは、やや元気のないわが国と比べうらやましくもあり、大変素晴らしいことでもあります。これまで、さまざまな分野、観点から日本がタイに対して協力を行ってきた成果の現れのひとつであると思います。累積額でいうと、タイは日本から世界第二位の技術協力の受取国、世界第五位の円借款の受取国なのです。
一方で、一人当たりのGNI(約3,800ドル)は依然として日本の十分の一、マレーシアの半分であり、バンコクと地方あるいは富裕層と貧困層の格差の拡がりから生じる問題、バンコク首都圏における都市問題、環境・気候変動などグローバルな課題、加速する少子高齢化など、まだまだ多くの課題が残されているのも事実です。これらいくつかの課題については、日本においてさえも解決が図られていないものも多く、タイでのODA事業の推進を通じて、タイと日本の行政官、技術者、研究者がともに考えともに行動しながら、お互いの課題を共有し、一人では気付かなかったことを発見しそれぞれの問題の解決に結びつけていくことがODAの大きな役割のひとつであるように感じております。
また、タイ政府は近隣国を中心とした途上国に技術協力や借款事業を実施しています。これらタイが実施する事業にJICAの経験とノウハウを提供し近隣諸国に共同で協力を行うパートナーシップ事業もこの国のODAの役割のひとつです。これとて一方的に日本側から「教える」のではなく、タイ側からも「学び」ながら、よりよい地域協力を行っていくことを目指しております。
ASEANは、2015年にASEAN経済共同体を実現し、域内関税の撤廃と投資や人の移動の自由化などを達成することを決めています。ASEAN域内の格差是正のための地域協力を推進するとともにタイ自身の国際競争力のさらなる強化も必要です。この観点でのODAが果たす役割も重要です。
このホームページを通じて、タイ、あるいはASEANのために実施されているJICAの活動、事業について皆様のご理解とご支援を頂き、皆様のご意見、アイデア、情報等を頂ければ幸いです。世界はますます相互依存の状況を強めていますが、JICAの活動、事業が、タイと日本、ASEANと日本の絆を一層強化し、人と人の結びつきを一層強めることの一助となれば幸いです。
コップンマーカップ、どうもありがとうございました。
JICAタイ事務所長 米田 一弘(2011年5月16日)