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小角尚子 「遠くて近い国、もうひとつの日本」

Ozumi Shoko
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山形県山形市出身
日系社会青年ボランティア

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職種
ソーシャルワーカー
配属先
パラグアイ/ラ・パス日本人会(ラ・パス市)
活動概要
地元の福祉グループを中心に人材育成のための指導・助言を行うとともに、デイ・サービス、高齢者宅への家庭訪問などの活動を実践する。さらに、地元老人クラブ活動への支援も行う。
派遣期間
2009年6月〜2011年6月
プロフィール
山形県立山辺高等学校福祉科卒業と同時にホームヘルパー1級、介護福祉士を取得し山形市内の老人福祉施設にて働く。また、留学やワーキングホリデーの経験を通し海外に目を向けるようになる。それらが重なり、「発展途上国において自分にできることがあれば」という思いから、JICA日系社会青年ボランティアに応募。2009年6月よりパラグアイ(ラ・パス移住地)に赴任する。

最終回 かけがえのない2年間

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ラパス日本人会より感謝状と記念品を頂く(筆者右から2番目)

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最後の健康講座にてラパス・チャベス両地区の高齢者の皆さんと一緒に。

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パラグアイで2年間支え合って活動してきた同期ボランティア達。

これまでの私にとって無縁であったパラグアイに足を踏み入れて2年が経とうとしています。こんなに身近な国になるとは想像もしませんでした。

道端に紐1本でつながれている牛や道路を横切る放し飼いの鶏の行列にびっくりしたこと。真っ青な空と緑の大地と赤土が美しい広大な風景や、あかね色に染まった空に沈む夕日と天の川まで見ることのできる満点の星空に心洗われたこと。南米という遠く離れたところで日本語が飛び交い、味噌や納豆が当たり前に手に入る社会に感心したこと。牛1頭の解体を手伝ったときには、改めて食に対する有難みを感じました。人と集うことが好きで小さなことは気にしないパラグアイ人のおおらかな性格に親しみを感じ、マテやテレレといったお茶を皆で回し飲みする習慣が今では当たり前になってしまったこと等、2年間で見たもの手にしたもの全てが走馬灯のように思い出されます。

そして、何よりもソーシャルワーカーとして日系移住地の高齢者対策に奮闘してきた日々を忘れてはいけません。これまで自分が得てきた福祉や介護に関する知識・技術を人の先頭に立ち、指導・助言、そして運営するということに始めは戸惑いも大きかったのですが、それらに応えてくれる地域住民の皆さんに支えられ、なんとかやり抜くことができました。国の制度も確立されていないなかで「自分達でなんとかしなければ」と試行錯誤を繰り返しながら共に歩んできたラパス日本人会や地元福祉グループの皆さんの学ぼう、前進しようとする姿勢には本当に頭が下がります。

異国にある日系人社会で、日本人であることの誇りやたくましさ、生きる力を何度も垣間見ることができました。日本の外に出たことで、日本(人)の良さを再発見することができました。これまでの自分がいかに生温い環境で過ごしてきたかと度々考えさせられた2年間でもあります。派遣前は「日系社会」「日系人」という言葉を耳にしたことがあるくらいで、それらについては無知に等しく遠い存在でした。ここ南米パラグアイの日系移住地に赴任し2年間を過ごし、日系社会や日系人の存在そのものに触れ、知ることができたことは、今の私にとってかけがえのない財産です。日系社会や日系人の存在、移住の過程や当時の苦労、現在の生活風景など、彼らの母国日本にいる私達がもっと知らなければいけないことが多々あると感じるようになりました。

ここには「いつでも戻っておいで」と温かく声をかけてくれる家族のような人達が大勢います。きっとまた、この地に足を踏みいれ、パラグアイや日系社会の移り変わり、自分が携わった高齢者福祉がどのように発展しているのか自分の目で見ようと思っています。そしてお世話になった皆さんと再会できる日を楽しみにしながら日本への帰路に着こうと思います。最後にこの場をお借りして、私の活動を支えてくださった皆さんに心から感謝します。

第7回 私の活動紹介(5)「広報活動」

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これまでに発行した「らぱちょ通信」。

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パラグアイから日本へ向けた情報発信にも力を入れる。地元紙への寄稿。

ラパス移住地の皆さんに、もっと福祉について身近に感じてもらいたい、少しでも理解を深めてもらいたいと、これまで10回にわたり「らぱちょ通信」と名づけた福祉のお便りを発行してきました。このお便りは私や福祉グループの活動紹介はもちろん、ここパラグアイの日系社会が一丸となって取り組んでいる高齢者福祉事業の紹介や、健康にまつわるお話等、様々な話題を掲載してきました。発行するたびに、移住地内の多くの方々から声をかけて頂き、幅広い世代の方々に読んでもらえていることが実感できます。

パラグアイの日系社会でも日本のように高齢化が進みつつあります。今までは移住地内、そしてパラグアイにおいて「福祉」が身近でなかったぶん、関心や理解を得るのが難しい部分もあります。さらに、現在のラパス移住地内は元気な高齢者が多く、高齢者本人やそのご家族にとって、福祉も介護もまだまだ遠い将来のことと捉えている方も少なくありません。しかしながら、年齢を問わずいつ何どき福祉や介護が自分の身にふりかかるかは誰にもわかりません。これらの「らぱちょ通信」を通じて、高齢者への理解はもちろん、自分の老い(老後)について、また移住地内での福祉の在り方についてどうあるべきか、どうあってほしいかを考えるきっかけになれば、というのが発行者としての私の願いです。

第6回 私の活動紹介(4)「地元福祉グループとの勉強会」

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血圧測定の実習。

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介助する側、される側に分かれてシーツ交換の実習。

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ラパス福祉グループ「らぱちょ」の皆さんと一緒に。

パラグアイには福祉に関する法律も制度も補助もありません。日本のように「福祉」そのものがまだまだ根付いていないというのが現状です。しかし各日本人移住地では母国日本を見習い、なんとか自分達で移住地内の福祉制度を確立させようと頑張っています。それをお手伝いすることが、私がこの地に派遣された理由のひとつでもあります。

ここラパス移住地が高齢者福祉対策に乗り出して約10年になります。歴代のJICAボランティアとともに、試行錯誤しながら今日まで歩んできたラパスの福祉は、着実に前に進み出しています。私が派遣された当初から移住地なりの高齢者福祉対策はできていましたが、それでも福祉を職業とする人がいないため、やはり一筋縄ではいかない事も多々あるのが現状です。

私は1カ年計画で地元福祉グループへの勉強会を計画、実施しました。高齢者福祉や介護に関する基本的なことから、食事・入浴・排泄等の介護技術等、私が学校や現場で学んだもの、知っている限りのことを皆さんに伝え今後に役立ててもらうためです。私がこの勉強会で特に気をつけたことは「動いて、感じてもらう」こと、要するに実習を多く取り入れた勉強会にしたということです。座学よりも身をもって経験してもらったほうが忘れにくいこと、相手(介護を必要とする人)の気持ちに近づけることなど多くのメリットがあります。ベッドメーキングの方法や車イスの操作・介助方法、食事をお互いに食べさせ合いながらの体験実習など数多くの実習を行ってきました。その中で福祉グループの皆さん達はそれぞれに感じるところがあったようで、「こんな声掛けが良かった」「ここをもっと丁寧にしてほしかった」「介護される側がどんなふうに感じているか理解できた」等、座って資料を眺めるよりも勉強になること(考えされられる部分)が多かったとの声を頂きました。

現在のラパス移住地は、元気な高齢者がほとんどのため、(幸いなことに)それらを実践する場が少なく限られています。今後、福祉グループの皆さんがこれまで習得した技術を忘れないようにするための自助努力に期待し、いざというときにはその力を大いに発揮してもらいたいと思っています。

第5回 私の活動紹介(3)「家庭訪問」

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ゲートボールに熱心な高齢者達の様子

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頭の体操プリントの説明をする私

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資料を一緒に眺め、健康に対する知識の普及を図ります

ここラパス移住地の高齢者は元気な方が多く、介護を必要とする高齢者の方は現在のところほとんどいません。元気な高齢者の方々は私が実施している健康講座に足を運んでくれたり、趣味のゲートボールやパークゴルフ、手芸を熱心にされています。

しかし、健康上の理由などから外出することが難しい高齢者の方がいらっしゃるのも事実です。そんな方々へ向けて、私と地元福祉グループの皆さんとで家庭訪問に取り組んでいます。

私達が行っている家庭訪問は訪問介護とは別で、家事援助や身体援助を提供するものではありません。健康上の理由などにより外出することが難しい高齢者やデイサービス利用者を対象に、最近の様子を伺いに行ったり、お話相手になったりするためのものです。数年前から続いているこの活動ですが、私が赴任した当初は対象者が10名前後、また訪問対象者の基準があいまいでした。私は対象者を見直すことを地元福祉グループの方々に提案し、その結果、現在では20名以上と大幅に増えました。本当ならば、各個人の様子(変化)を見るためにも毎月定期的に訪問したいところですが、私の活動はこればかりではなく、全家庭へお伺いすることが難しいという現状があります。ですので、2カ月に1回は必ず各家庭を訪問することに決め、担当のボランティアが継続的に訪問することにしました。

訪問時の基本体制は2人1組です。外出する機会の少ない高齢者の方々は我々の訪問を喜んでくださいます。最近の様子や健康状態をお聞きし、必要があれば相談にものります。しかし、実際は他愛のない話しがほとんどです。最近身近にあった出来事や世の中の情勢などが話題になることもしばしばで、さまざまなことを私に話してくれます。そして、何よりも移住当時の話しや戦争の話しなど、私にとっては貴重な話しを聞ける場でもあります。外出する機会の少ない方々ですので、人と話すことが何よりも楽しいようです。

最近、私は高齢者向けの頭の体操プリントを持って出かけています。このプリントは脳の活性化(認知症予防)を図るもので、有名な文学の一節を声に出して読んだり、百マス計算をしたりするものです。無理強いはせずに、まずは自分の好きな時にやってもらうよう渡したプリントですが「退屈しのぎにちょうどいいなぁ」「これ、おもしろいよ」「今から計算するから、時間計ってくれない?」との声をいただき、好評を得ています。私が健康講座で配布する資料をお渡しして、各々の健康維持に役立ててもらったりもしています。

ここまで書くと順調であるように見える家庭訪問ですが、狭い移住地内を地元福祉グループが訪問することで、知り合いに(皆さん移住当時からの顔なじみなので)自分の家庭の中を垣間見られるようだと、訪問をあまり快く思ってない方もいらっしゃるのも事実です。ここ移住地の高齢者福祉はまだまだ駆け出しの時期ですので、少しずつ理解を深めていってもらえるよう試行錯誤しながら、できるところから一歩一歩、着実に歩んで行くことが一番の近道だと思っています。

第4回 私の活動紹介(2)「デイサービス」

ラパスでのデイサービス

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巨大松ぼっくりに色を塗って、世界にひとつだけのクリスマスツリー作り。

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ラパス日本語学校の子供達との交流会を企画。節分にちなんだ豆まきゲームを一緒

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パラグアイでも日本の文化や行事を大切にしています。

ここラパス移住地では毎月2回、高齢者向けのデイサービスを実施しています。日本のデイサービスをよくご存じの方は「ひと月に、たった2回だけ!?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、デイサービスを支える地元福祉グループの皆さんが家業を助ける主婦から成り立っていることや対象地区が広域にわたるために生じる送迎の難しさなど、解決しなければならない課題がたくさんあり、現段階では月2回の実施が精一杯なのです。

デイサービスは毎月第2・第4水曜日の午前10時から午後4時まで実施しています。現在の利用者は10名前後、そこに地元福祉グループや診療所の看護師などのサポートが入ります。人数は決して多くありませんが、利用者やスタッフ共々、皆さん移住当時から苦楽をともにしてきた顔なじみばかりですので、和気あいあいとした雰囲気の中で1日を過ごしています。

日本のデイサービスを参考に

私が赴任した当初は、毎月1回午後3時間程度をデイサービスと位置付けて活動していました。しかし、利用者からの要望やラパス移住地の将来を見据えた発展のひとつとして、私の赴任後より1日型のデイサービスに変更することにしました。血圧や体温の測定から始まり、ラジオ体操、ゲームや創作活動といったレクリェーション、帰る際には歌を歌ったり簡単な体操をしたりと、日本のデイサービスを参考にしたプログラムを組んでいます。そしてこれらは、利用者の方々から大変好評をいただいています。

1日型のデイサービスに変更するにあたり、それを支える地元福祉グループの皆さんは進行の仕方やレクリェーションの組み立て方などに戸惑うことが多かったようです。これまでの知識や経験から、私が先頭にたってスムーズに進めていくこともできるのですが、それでは意味がありません。今後、福祉グループの皆さんが自分達だけで進めていかなければならない日は、すぐそこまできています。その日のために、私は彼女達へのアドバイスを中心に、あくまでも後ろからサポートする側に徹しています。経験を重ねるごとに、福祉グループの皆さんも自分に与えられた役割をしっかり認識し、責任をもって取り組む姿勢が見られるようになってきました。彼女達の学ぼうとする姿には、本当に感心させられます。彼女達が、介護に必要な『気づき』の目をもっと養えるように、残り1年で私がもっている知識や技術など、出し惜しむことなく伝えていけたらと思っています。そしてより多くの地元高齢者の方々に、デイサービスに集うことの楽しさを知ってもらうべく、今後も努力していきたいと思っています。

第3回 私の活動紹介(1)「健康講座」

月に1回の「健康講座」

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『健康講座』は私が移住地内の高齢者の皆さんにお会いできる貴重な場。

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頭の体操では皆さんの表情も真剣そのもの。

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『健康長寿』のための介護予防体操。

私は月に1回、ラパス長寿会の皆さんと、隣接するチャベス相生クラブの皆さんへ向けて『健康講座』というものを開いています。長寿会と相生クラブは、日本でいう老人クラブのようなものです。講座というと、なにか堅苦しいように思われるかもしれませんが、実際は和気あいあいとした雰囲気の中、約2時間を共に過ごしています。

この健康講座は、ここラパス移住地に派遣された我々ボランティアによって、今日まで受け継がれている活動のひとつです。決まった形式がないので、2時間という時間をどのように利用するか、ボランティア自身が毎回の内容を企画・決定します。私の場合は主に1)健康で長生きするための情報の提供や普及、2)認知症予防のための頭の体操、3)音楽に合わせた健康体操(介護予防体操)の3つに重点を置き、実施しています。

健康に関する情報の提供や普及では、私が今までの高齢者介護を通して得た経験等をもとに、高齢者がかかりやすい病気やその予防策、日常生活で気をつけてほしいことなどをお話ししています。参加者の中にはメモを取りながら真剣に耳を傾けている方もいらっしゃるほどです。高齢になると自身の健康について、皆何らかの不安を持っています。それらを少しでも解消し、今後に役立ててもらえればと思いながら、配布する資料を作成しています。

頭の体操では、健康に関する情報をクイズ形式にしたり、日本語や漢字の間違いを探したり、日本に関する習慣や行事を思いだしながら話し合ったりと「考える」時間を大切にし、思考力や記憶力などによる脳の活性化を図るよう意識しています。

健康体操では、介護予防の大切さを伝え、皆で音楽に合わせて体を動かしたり、また、体だけではなく嚥下体操(飲み込みの体操)も取り入れたりしています。個々の状態に合わせてでき、そしてその場限りではなく自宅でも継続できるようなものを皆さんに紹介しています。

その他にも、プロジェクターを使っての映画上映会、シニアボランティアを招いての特別講座を開いたりと、年に数回は違った企画も計画します。

私は博士でも医者でもなく、今まで高齢者介護に携わってきたひとりの若者です。それでも、私のことを「先生!」と呼んでくださり、毎回多くの高齢者の方に参加していただいています。そして「ありがとうございました」「また、よろしくね」というありがたい言葉を頂きます。それらは私の活動の励みになっています。長生きするということは素晴らしいことですが、健康でなければ人生楽しくないのです。移住という並ならぬ苦労をされたここパラグアイの高齢者の皆さんが、少しでも長く、毎日をいきいきと笑顔で過ごせるようお手伝いができればと思いながら日々活動しています。

第2回 パラグアイの福祉。移住地の福祉。

家族介護が基本

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福祉グループの勉強会にて『高齢者疑似体験』の様子。ペットボトルなどを利用して道具を製作。右端が私。

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ラパス移住地の福祉を支えている皆さん。後列の右から2番目が私。

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各日系移住地の福祉グループが集まり開催された合同研修会にて。

日本に住んでいる私達にとって『福祉』は時代とともに身近なものになってきているのではないでしょうか。しかし、ここパラグアイは、国によって福祉の法も制度も確立されていません。そのため、各日系移住地では自分達でその必要性を感じ、知恵を出し合い、これからの高齢社会に対応しようと努力しています。

パラグアイの日系社会では、家庭介護が主となっています。もちろん福祉そのものが整備されていないという根本的なものもありますが、その背景には今の日本では難しくなってしまった「家族で面倒をみるのが当たり前」という考えと家族内の強い絆があります。これはとても素晴らしいことであり、現代の日本の理想ではないでしょうか。しかし、裏を返せば「人様の手を借りるなんて申し訳ない、恥ずかしい」という思いも未だにあるのが現状です。『福祉』は皆が手を取り合って協力しあい、誰もが住みやすいよりよい社会をつくること。助け合うのは当たり前、お互い様という想いが日系社会全体に広がるようにと願って活動しています。そして、それはそう遠くない未来だと私は信じています。

ここラパス移住地には、日系人主婦で成り立つ福祉グループが存在します。福祉グループのメンバーは、福祉や介護について全く知識が無かったところからスタートし、(もちろん養成所のようなところはありませんので)我々のようなJICAボランティアから知識や技術を吸収したり、日本への研修制度を利用し勉強したりと懸命に頑張っています。私はその福祉グループに助言や指導をしながら一緒に活動しているわけです。

また、最近は地元パラグアイ人の福祉グループへの参加も受け入れるようになりました。現在は日系社会に留まっている『福祉』をパラグアイという国自体に浸透させるための啓蒙活動や人材育成は今後の私の課題の一つでもあります。

日系社会から国全体へ、共に人と手を取り合い、歩むときがくるまでの道のりは長いかもしれませんが、これこそが一番の理想の形であり、ボランティア冥利に尽きるのではないかなと思います。

第1回 移住?日系社会?日系人?

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日系社会青年・シニアボランティア、パラグアイ同期隊員と。派遣前訓練から任期終了までの長い間をともにする運命共同体。中央が私。

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ラパス入植50周年記念碑。「ローマ…」にも負けない移住者の苦労と想いが伝わってきます。。

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パラグアイにあるユネスコ認定世界遺産『トリニダ遺跡』。パラグアイの歴史を感じさせられます。

日本から見て、地球の裏側にもう一つの日本があることを皆さんはご存じでしょうか。「移住って何?」「日系人ってどんな人?」と聞かれたら、あなたならなんと答えますか?

まだ見ぬ遠い異国の地へ、夢と希望を持ち、はるばるここパラグアイに日本人が移り住み始めたのは1936年のことです。果てしなく広がる原生林(ジャングル)を、大きな鍬や鋸を使いながら一本一本自分たちの手で伐採、開拓し、そして今があります。この広大な景色を見たら、誰もが移住者(日系人)の皆さんに尊敬の念を抱かずにはいられないでしょう。現在、パラグアイには約10か所の日本人移住地が存在し、私の赴任先であるラパス移住地では日系人が約730名程生活しており、パラグアイにおいて3番目に古い移住地です。

今、私はパラグアイのラ・パス日本人会に所属し活動しています。わたしの職種は『ソーシャルワーカー』です。主に移住地の高齢者福祉の普及・発展のために日々奮闘しています。高齢者といっても虚弱なかたは一握り。厳しい自然と闘いながら開拓してきたからでしょうか、皆さん足腰が丈夫で元気そのもの、実際の年よりも若くみえるほどです。ですから介護というよりも、その予防に焦点をあてて活動しています。

私が行っている活動の内容として(1)移住地の高齢者を集めての健康講座(2)デイサービスの実施(3)引きこもりがちな高齢者宅への家庭訪問(4)福祉啓蒙活動(広報の配布)(5)地元福祉グループに対しての勉強会等、様々なものがあります。各活動内容は次号からお伝えしていきますね。

日本を発って早くも半年。南米パラグアイにいながらにして、日本語で話し、日本食を食べ、なんら日本で生活するのと変わらない不思議な感じのするところで私は活動しているわけですが、それでいて、パラグアイ人と触れ合い、違った文化を体感し、パラグアイのいいところも満喫しています。山のない広大な緑の大地、覆いかぶさるような一面に広がる真っ青な空、真っすぐに続く赤土の道は私に元気をくれるお気に入りの風景です。これから、このページを通して、私の活動を始め、パラグアイの様々な魅力をお伝えできればいいなと思っています。