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壁画がつなぐフィジーと日本の国際交流

−市民レベルの援助を支える青年海外協力隊−

2009年05月21日

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制作を指導する荒川純江・青年海外協力隊員

フィジーの自然と戦士の姿を日本の中学生が描き、同じキャンバスの反対側にはフィジーの中学生が相撲の力士や高層ビルなどの日本のイメージを描く――二つのイメージがつながり一つの作品が完成したとき、作品制作のもう一つの目的であった「国際交流」が実を結びました。この作品制作をフィジーの中学校で支援したのが荒川純江さん。学校教諭として2007年からフィジーに派遣されている青年海外協力隊員です。

荒川さんはフィジーにおいてPEMAC(注)普及に向け活動し、学校を巡回して美術を中心とした授業を行っています。今回、活動先の一つであるダッドリー中学校の生徒と共に、国際的なプロジェクト「アートマイル壁画」に参加。同様にこのプロジェクトに参加する大阪・寝屋川市立友呂岐(ともろぎ)中学校の生徒とともに、2008年9月から壁画の共同制作に取り組みました。

「アートマイル壁画プロジェクト」は壁画制作を通じて国際交流を図り相互理解を深め、平和を訴えるプロジェクトです。参加する世界各国の個人や団体がテーマのある壁画(縦1.5×横3.6メートル)を制作、各作品を一つに集結し、2010年にエジプトでピラミッドを壁画で囲んだ展示を予定しています。

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テレビ会議を通じて膨らませた日本のイメージを描く

日本とフィジーの中学生はまず、お互いの国の文化を知り、制作の糸口をつかみました。ダッドリー中学校の生徒たちは、相手校に何を紹介するかを話し合い、それに向けて練習を開始。テレビ会議でフィジーの文化紹介をしたほか、習いたての日本語で生徒一人ひとりが自己紹介をしたり、さらには日本の歌「ふるさと」をウクレレで演奏したりするなど、テレビ越しに日本の中学生との交流を図るべく、日本文化理解への努力をしました。

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日本の中学生が描いた絵(手前)に呼応して制作

そしていよいよ友呂岐中学校の生徒が制作した作品の左半分に、ダッドリー中学校の生徒が絵を描く段階に。友呂岐中学校の生徒が描いたのは、青い空と海とヤシの木、伝統的な衣装を身に着けたフィジーの戦士の姿。そのイメージに呼応するよう、ダッドリー中学校の生徒はテレビ会議から得た日本のイメージを膨らませ、力士や新幹線、高層ビル、着物姿の女性などを生き生きと描き、2009年3月末にようやく作品が完成しました。

絵を描くことを通じてお互いの国や文化、表現することの楽しさを生徒に学んでもらうことが目的だった今回の共同制作は、国際交流と相互理解を図れただけでなく、生徒同士の団結力も強め、大きな宝物を残しました。「何事にも一生懸命取り組む生徒たち。今回、そんなまっすぐな彼らから、たくさんのエネルギーをもらいました。残りの任期も、彼らの前向きな気持ちに応えられるように活動していきたい」と語る荒川さん。およそ半年の制作期間を経てようやく作品が完成したときは、生徒や先生と喜びを分かち合えた最高の瞬間だったといいます。

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完成した壁画を前に記念撮影

日本は大洋州の島しょ国への支援方針の一つに「人と人との交流」が掲ており、これまでにも友好関係を促進し、相互理解を深めるための文化交流などの事業が行われてきました。JICAは青年海外協力隊員やシニア海外ボランティアを派遣し、市民と協働する支援を実施しています。フィジー以外にも、パプアニューギニア・ミクロネシア・トンガ・バヌアツなど大洋州の9ヵ国に教育、水産業、保健・医療分野で現在約200人の青年海外協力隊員やシニア海外ボランティアを派遣(注2)。これらの島しょ国では就業機会が少なく、さらに技術や技能を持つ人が条件の良い仕事を求めて海外に流出するなど、人材不足が問題となっています。そのため、自動車整備、青少年活動、理学療法士、理数科教師などの分野で活動する青年海外協力隊員やシニア海外ボランティアが、大変重要な役割を果たしています。

5月22、23日開催予定の第5回「日本・太平洋諸島フォーラム(通称:太平洋・島サミット)」では、環境、保健・教育分野での人材育成が支援策の一つに盛り込まれています。


注1:PEMAC(Physical Education, Music, Art and Craft)は、体育・音楽・図工の指導の強化を目的として、フィジーの学校で実施されているカリキュラム。青年海外協力隊員がその活動を支援している。

注2:2009年3月31日現在の派遣人数(青年海外協力隊サイト)による。