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日本とブラジルがモザンビークで農業開発協力

−ブラジル・セラード農業開発の知見を生かして−

2009年09月28日

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日伯で農業開発が進められるモザンビーク北部のナカラ回廊近く。トウモロコシ栽培地の周辺には広大な未利用農地が遠望できる

2009年9月17日、モザンビークの首都マプト市で、日本、ブラジル、モザンビークの代表が、熱帯サバンナ農業開発をモザンビークで推進する合意文書に署名しました。署名式には、日本側からJICAの大島賢三副理事長、ブラジル側から国際協力庁のマルコ・ファラーニ長官、モザンビーク側からソアレス・ボニャザ・ニャッカ農業大臣がそれぞれ参加し、政府関係者や地元マスコミが多数集まる中、署名を行いました。

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小規模農家(手前)の奥には未利用農地が広がっている

今回合意したモザンビーク熱帯サバンナ農業開発協力事業の基本的枠組みは、ブラジルのセラード地帯で日本とブラジルが行った熱帯サバンナ農業開発協力の知見を、モザンビーク、ひいては将来的にアフリカの熱帯サバンナ地域の農業開発に生かしていこうというものです。セラード開発は、強酸性土壌で「不毛な半砂漠地域」と呼ばれた土地を、日本とブラジルが1970年代から約20年にわたる農業開発協力事業により大農業地帯へと変貌させ、ブラジルの内陸開発のみならず、食料の増産を通じて世界の食料需給逼迫緩和に大きく貢献した開発事業です。この成果をアフリカ熱帯サバンナ地域でも活用すべく、2009年4月に日伯間で対アフリカ熱帯サバンナ開発協力の合意文書が結ばれ、その協力対象国として公用語がブラジルと同じポルトガル語のモザンビークが選ばれ、三角協力の実施が決定しました。

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3ヵ国の農業開発協力の方向性について協議する日伯の代表団(左)とモザンビーク政府(右)

モザンビークは16年に及ぶ内戦の終結後、民主化に取り組み、3度の総選挙を大きな混乱もなく乗り越え、政治・経済面での安定を達成し、紛争終結後の平和構築に世界で最も成功した国の一つといわれています。しかしながら、貧困問題は依然深刻で、国連開発計画(UNDP)の人間開発指数(2007/2008年)では、177ヵ国中172位と後発開発途上国の一つとなっています。同国は人口の8割が農業に従事しながら、低投入・低生産性の自給自足型農業を余儀なくされ、貧困に苦しんでいます。一方、モザンビークの国土の約7割(約54万平方キロメートル)が熱帯サバンナ地域に分類され、広大な未利用農耕適地として残されています。ブラジルのセラードとモザンビークの熱帯サバンナは類似点が多く、セラード開発事業にはモザンビークの農業開発に参考となる豊富な農業技術例があるといわれています。特に、セラード農業開発を通じて蓄積された土壌改良技術や作物の適品種導入は、モザンビークの熱帯サバンナ農業の生産性向上に貢献し、小規模農民の生計向上につながるものとして期待されています。

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署名後、合意書を交換し合う3ヵ国の代表(右から大島JICA副理事長、ニャッカ・モザンビーク農業大臣、ファラーニ・ブラジル国際協力庁長官)

今後の協力計画では、モザンビーク北部のナカラ回廊周辺地域を事業対象優先地域として、全体を「プログラム準備段階」と「プログラム事業化段階」の二つに分けます。第1段階では、基礎調査、研究能力向上プロジェクト、マスタープラン策定、開発モデル実証調査の四つを実施し、第2段階では、第1段階の成果を踏まえ、ナカラ回廊地域沿いに開発モデルの面的拡大を図り、市場を意識した競争力のある農業・農村地域開発を推進する計画です。

なお、本プログラムを効果的、効率的に進めていくため、関係3ヵ国にワーキング・グループを設置し、関係機関のコンセンサス形成と事業の進捗管理を行っていきます。来年早々には、東京で第1回の合同ワーキング・グループ会合を兼ねた国際シンポジウム「アフリカ熱帯サバンナ農業開発協力」を開催する予定です。