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−「東アジア海上犯罪取り締まり」研修(その2)−
2009年11月17日
ヘリコプターによる負傷者救出の訓練を見学する研修員
アジア諸国など9ヵ国の海上警備機関の政策立案者が、日本の海上保安庁で国際海上犯罪取り締まりや捜索技術などを学ぶ「東アジア海上犯罪取り締まり」研修短期コースが、11月9日から1週間、海上保安庁およびJICA九州において実施されました。
マレーシア、インドネシア間に位置するマラッカ海峡は、欧州、中東やアジアを結ぶ重要な航路である一方、海賊による船舶襲撃事件が多発していました。1990年代後半にはその数が急増し、国際的な協力による海賊対策が急務となる中、2000年に東アジア周辺国の海上警備機関の関係者が意見交換を行う場として「海賊対策国際会議」が東京で開催されました。
JICAはこの会議のフォローアップとして、2001年から「東アジア海上犯罪取り締まり」研修を実施。日本の海上保安庁の協力の下、海上警備機関の指揮官などが日本で国際海上犯罪の現状と対策、取り締まり実務を学ぶ長期コースを、2007年まではアジア諸国を対象として実施。同年には政策担当者が海上保安庁の機能を学び、国際ネットワークの構築を目指す短期コースも開設しました。2008年からはイエメンとオマーンの研修員も参加しています。
巡視船「はかた」を見学
この短期コースには、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムの東アジア諸国のほか、ソマリア沖・アデン湾での海賊事件対策のために参加するイエメンとオマーン、また、同様に海賊事件が急増するアフリカ周辺への対策として、今年からケニアとタンザニアも加わり、今回は計9ヵ国15人が参加しました。
巡視船「らいざん」の体験航海では、自国で巡視船のキャプテンを務める、オマーンの研修員が操舵ハンドルを握った
研修員は9日に海上保安庁の業務視察などを行い、11日に博多港(福岡市博多区)で、第七管区海上保安本部の大型巡視船「はかた」の設備や機能を視察。その後、巡視船「らいざん」に乗り込み、業務航海を体験。午後からは同本部福岡航空基地を訪れ、同本部が担当する業務などについての説明を受けた後、海難救助の訓練などを見学しました。
海上の救急隊、機動救難士。施設をヘリコプターに見立てて、負傷者を吊り上げる訓練を公開した
日本の海上保安庁の業務には海上警備のほか、海難救助、防災や環境保全なども含まれますが、海外の海上警備機関の中にはこれらの機能を持たないものもあります。各国の状況を報告する「カントリーリポート」では、「海上警備のために幅広い機能を持つ機関を設立し、海上犯罪を防止するための設備を備え、関連する法律を強化することが必要」(インドネシア)、「わが国の海上警備隊は2002年に設立された。現在、世界の船舶の約8割が通過するアデン湾を、各国の軍隊が協力して警備している。しかし軍隊は攻撃されやすいため、自国の海上警備隊の能力を強化し、警備できる仕組みづくりが必要」(イエメン)といった情報が共有され、研修は13日に閉講しました。
国際的な連携による海上交通路の安全確保が模索される中、アジア海賊対策地域協力協定(アジア14ヵ国が締約)に基づき、周辺国が海賊事件発生状況等の情報を共有できるよう、2006年には「情報共有センター」がシンガポールに設置されています。今後、イエメン、ケニア、タンザニアにも海賊情報共有センターの設置が予定されており、効果的な海賊対策を図り、国際ネットワークの構築を目指す上で、この研修は非常に意義があるものといえます。