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CDM事業を後発開発途上国でも

−COP15サイドイベントでCDM制度改善を訴える−

2009年12月10日

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CDMを後発開発途上国にとって使いやすい制度にするため、途上国自身のイニシアティブを重視

12月7日からコペンハーゲンで開催されているCOP15 (気候変動枠組条約第15回締約国会議)において、JICAは12月9日に財団法人日本エネルギー経済研究所と共催で、後発開発途上国(Least Developed Countries: LDC)におけるクリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism: CDM)のあり方を議論するサイドイベントを開催しました。

CDMは、先進国の資金で開発途上国が排出する温室効果ガスを削減した場合、その削減分を先進国が買い取ることで先進国の削減分として計上し、途上国側では売却資金を開発目的に投入するという、いわゆるwin-winの仕組みです。ところが、世界中に現在1,800件以上あるCDM事業の4分の3以上が中華人民共和国、インド、ブラジル、メキシコの4ヵ国に集中していて、カントリーリスクの高さに加えルールの厳格さにより、大半の途上国、特に後発開発途上国では、CDM事業は存在しないか、あってもせいぜい1、2件にとどまっているのが現状です。この状況を憂慮しているJICAが、事業の偏りに対する後発開発途上国の大きな不満の声を建設的に状況改善につなげるべくCOP15の場でCDMの制度改善の議論を後発開発途上国自身に行ってもらおうと企画したのが、今回のイベントです。

最初にJICAから、後発開発途上国でCDM事業を推進するには、ODAを含む公的援助資金のより広範囲な利用、追加性(注1)証明の免除、現行の複雑な二酸化炭素削減量計算法に代わる簡易計算法の設定、といった制度改善が必要と説明。続いて後発開発途上国グループのCDM理事会代表であり、同グループの取りまとめ役でもあるウガンダ国土環境省のフィリップ・グワゲ氏より、実際のCDM事業を通じた能力開発の有効性などを含め、10月にタイ・バンコクで開催した「LDCにおけるCDM促進に関するラウンドテーブル」会合の結果が報告されました(注2)。最後に日本エネルギー経済研究所の田上貴彦(たかひこ)研究員が、改善提案の技術面について説明しました。

日本は2020年までの中期目標として、温室効果ガスの1990年比25パーセント削減を国際的に公約しています。一方、COP15では、先進国の削減水準とともに、途上国の低炭素開発に向けた計画や、それに対する資金協力・技術協力のあり方が議論されています。後発開発途上国でのCDM促進支援は、この議論を先取りするものであり、JICAでは、排出権売却益を途上国が持続可能な開発・貧困削減の原資とすることで、後発開発途上国における開発の加速化にもつながると考えます。

JICAでは、COP15以降も後発開発途上国グループに対する技術的インプットを継続し、同グループによるCDM制度改善に向けた具体的提案を支援していく予定です。

気候変動対策室


(注1)CDMプロジェクトがなかった場合と比べて、温室効果ガスの「追加的な」排出削減が見込まれること。CDMプロジェクトとして認められる条件の一つ。
(注2)JICAは2009年10月、バンコクで「LDCにおけるCDM促進に関するラウンドテーブル」会合をウガンダ政府と共同で開催。後発開発途上国が集まってCDM制度改善について議論した。