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「外交の最前線」に立つ協力隊を菅総理が激励

−青年海外協力隊員が菅総理に活動を報告−

2010年06月16日

6月14日、「内閣総理大臣主催 青年海外協力隊員帰国隊員による報告会」が、首相官邸で催された。今回は、2005年から2009年に帰国した青年海外協力隊員と日系社会青年ボランティア(注1)約6,000人の中から約150人が招待された。

報告会には菅直人内閣総理大臣、仙谷由人内閣官房長官をはじめ、岡田克也外務大臣や福山哲郎内閣官房副長官も出席。また、来賓として「日本の国際協力−特に青年海外協力隊の活動−を支援する国会議員の会」会長の高木義明衆議院議員をはじめとする約30人の国会議員が参加した。JICAからは緒方貞子理事長、大島賢三副理事長、伊藤隆文青年海外協力隊事務局長らが出席した。

協力隊員は「日本の外交の最前線」

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「それぞれの隊員が素晴らしい活動や経験をしてきたとこを改めて感じた」と述べた菅総理大臣

菅総理大臣は挨拶の中で、内戦後のモザンビークなど、開発途上国を訪問した時の体験に触れつつ、「言葉だけでなく文化や風習も違う環境で、途上国の人たちのために活動してきたことは、本当に素晴らしいことだと感じている。青年海外協力隊の活動は、日本の外交の最前線としての役割を担っている。ここにいる皆さんは、勇気を持って世界で活動してきた。最近では海外へ飛び出そうという若者が相対的に減ってきているといわれているが、これからは、皆さんのように青年海外協力隊に参加した若者によって、世界中で素晴らしい活動が行われることを期待している。今後も青年海外協力隊の活動を、内閣をはじめ多数の国会議員と共に応援していきたい」と激励した。

協力隊での体験を日本のために役立てたい

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現地の人々の生計向上のために女性の活動を支援した柘植さん

協力隊員を代表して二人の隊員が帰国報告を行った。

柘植(つげ)未希子さん(2007年から2009年までボリビアに村落開発普及員として赴任)は、「標高約3,000メートルのアンデス地域で同僚と村々を巡回し、品質向上のための講習会などを開催して、現地の特産品の伝統織物を織る女性グループを支援した。さまざまな苦労はあったが、現地の人々のおかげで、人の心の温かさや絆を再認識させられた」「協力隊に参加して人生がより豊かなものに感じられるようになった。現在は、日本赤十字社国際部で国際救援の仕事に携わっているが、協力隊員時代の経験を生かし、思いやりのある強い人間になりたいと思う」と報告した。

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大学時代に世界記録保持者となった窪田さん。けん玉は現地でのコミュニケーションに大いに役立ったという

窪田保さん(2004年から2006年までモザンビークに理数科教師として赴任)は、「派遣先の中学校の理科室にあった実験用の機材はホコリをかぶり、試薬や道具は不足していた。派遣当初は本当に苦労したが、物がない中で身近にあるペットボトルや空き瓶などを活用しながら、活動を軌道に乗せていった」と報告。また、連続8時間演技という世界記録を持つ特技の「けん玉」を生かし、週末を利用してけん玉教室を開催したことを披露した。教室の生徒の一人が日本で行われたけん玉の世界大会で優勝したというエピソードを語りながら、菅総理の前でけん玉を実演。華麗な技に会場からは歓声が沸いた。

窪田保さんは現在、愛知県で不登校の生徒が通う通信制の高校に勤務するかたわら、モザンビークに小学校を建設するという目標を持って「けん玉夢基金」という活動も行っている。窪田さんは、「青年海外協力隊の活動は、国民の支援によって成り立っている。今後は協力隊で培った経験を、日本国内の地域社会の発展や福祉の向上のためにも役立てていきたい」と報告を締めくくった。

参加しやすい制度や経験を生かせる仕組みづくりでサポート

帰国隊員の報告の後、仙谷官房長官は、「先月ベトナムで日本センター(注2)を訪問し、JICAのボランティアや専門家が精力的に活動していることに感動を覚えた。途上国は、たとえるならば、魚をもらうよりも魚を獲る技術を教えてほしいと願っている。改めて協力隊の活動は意義のあるものだと感じた。皆さんも現地で培った友情、人脈を駆使し、今後も技量を生かせるような活動を、世界で、日本で展開してほしい。これからも、協力隊員の志と活動が雪だるまのように大きくなっていくことを祈念し、そのために私たちも働きたい」と挨拶した。

「日本の国際協力−特に青年海外協力隊の活動−を支援する国会議員の会」の高木会長からは、「ここに集まった皆さんの表情は、一人ひとり大変自信に満ちあふれている。派遣中は困難なこともあったと思うが、世界に大きく目を開いた皆さんに心から敬意を表し、これからも青年海外協力隊事業を応援していきたい」との言葉があった。

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岡田外務大臣は5月にも南アフリカ共和国で派遣中の協力隊員と懇談した

また、岡田外務大臣は、「過去45年に及ぶ協力隊の活動は、日本にとって、とても大きな『顔の見える援助』。外務大臣として、今後は協力隊員が帰国後に経験がしっかり生かせるような仕組みづくりや、現職教員や公務員、民間企業の休職制度などがさらに広がるような工夫をしていかなければならない。菅政権として、皆さんの活動をしっかりサポートできるようにしていきたい」と語った。

その後、世界の地域ごとに分かれたテーブルで、帰国隊員と来賓の議員が派遣国での生活や活動について、和やかに歓談した。

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総理大臣を囲んで。派遣先国の衣装に身を包んだ帰国隊員も多数

最後に、緒方理事長が、「本日は菅総理大臣、仙谷官房長官、岡田外務大臣をはじめ、たくさんの多忙な議員の方々が出席され、協力隊事業に高い評価をいただいていると感じている。帰国した隊員には、世界の最前線で活動してきた経験を社会で生かすとともに、協力隊の精神とボランティアの意義を広く伝え、活躍してほしい。JICAも『世界も日本も元気にするボランティア』というキャッチフレーズで今後事業展開していくので、帰国隊員の皆さんも引き続きがんばってほしい」と、帰国隊員への激励の言葉を述べた。

青年海外協力隊事務局


(注1)日系社会青年ボランティアは、日系人の在住する中南米の国々に赴任、現地の日系人社会で活動する。
(注2)日本センターは、ベトナムほかアジア地域の8ヵ国で市場経済化を担う人材育成などを行っている。