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−新たな日印三角協力がスタート−
2012年02月03日
日本人専門家による道路構造物の点検手法などの講義風景
JICAとインド道路技術者研究所(Indian Academy of Highway Engineers:IAHE)は1月9〜29日、インドの首都ニューデリー郊外で、アフリカから招いた道路分野の実務者を対象にした研修を実施した。これは、日本とインドが共同で行う新たな技術協力であり、2011年12月から2012年9月まで、アフリカに対して日印共同で全5回にわたって行われる。今回の研修はその2回目に当たり、日本とインドの道路専門家が講義を担当。タンザニア、ウガンダなど9ヵ国から18人が参加した。
日本政府は2008年の第4回アフリカ開発会議(TICAD M)において、2012年までにアフリカ向けODAを倍増することを表明し、アフリカ支援を強化してきた。
一方、インド洋を隔てて東アフリカと歴史的・社会的・経済的つながりを持つインドは、1950年代からアフリカへの支援を実施してきた。2011年には3年間で50億ドルのアフリカ向け借款の実施やアフリカでの計8ヵ所の道路技術者研修所の設立と運営への協力を表明するなど、積極的にアフリカを支援している。IAHEでのアフリカ諸国に対する研修実施もその一つで、アフリカにおける新興ドナー(援助国)としての存在感も増している。
そうした背景の下、JICAはインドとの協力関係構築を模索してきた。今回の研修は、日本とインドによる途上国支援(三角協力)(注1)が、アフリカの道路分野における技術協力という形で実現したものである(注2)。
研修は各回とも約3週間にわたって行われる。テーマは、昨年12月の1回目がフィージビリティ・スタディ(F/S:実行可能性調査)、2回目となる今回がPPP(Public Private Partnership:官民パートナーシップ)。日本、インド双方の専門家が講師を務めるが、日本側は道路維持管理、道路安全対策、道路点検など、インドに蓄積の少ない分野を担当し、3週間の研修のうち平均3日をカバーする。今回も道路構造物の種類や管理手法、点検手法と非破壊検査(注3)の概要、赤外線カメラを用いたコンクリート構造物の点検などを説明したほか、日本で使用している非破壊検査機器を持ち込み、使用方法を実演するなどした。一方、インド側はPPPに関する一連の講義を担当した。
土壌硬度計を使っての実習
講義の後、参加者からは「これまであまり意識してこなかった道路の維持管理の重要性が理解できた」「自国には老朽化したコンクリート橋が多数存在しているので、非破壊検査機器を現状把握に活用したい」「機器を使っての実習が初めてということもあり、非常に参考になった」などの声が上がった。また、IAHEのヴィシュヌ・シャンカー・プラサド所長は、「道路の建設だけでなく、維持管理の概念を根づかせることが重要。今後も日本とインドが協力して、それぞれの機材やノウハウを有効活用し、アフリカ各国の道路建設におけるソリューションを提示していきたい」と意気込みを語っている。
講師を務めた日本の専門家とアフリカからの研修員
研修は今後、契約監理・紛争解決(2月)、高速道路建設(3月)、コンピューター・デザイン(9月)の3回が予定されている。また、インドがアフリカ各国に建設を予定している8ヵ所の道路技術者研修所が完成した後には、アフリカでの日印共同の技術協力も見込まれる。
道路建設・維持管理を通じてアフリカを支援することは、日本にとってはアフリカでの日本の技術・機器の普及や日本企業の事業展開の促進、インドにとっては道路事業への参入拡大につながる。今後はこの構図が、インド近隣諸国や中央アジアなどへ拡大していくことも期待されている。JICAはこれからもインドのアフリカ支援に協力していく。
(注1)先進国や国際機関と、途上国が連携して他の途上国を対象とした支援を行う。
(注2)過去に養蚕分野での支援実績がある。
(注3)物を壊さずに傷の有無や内部の状況を調べる検査。