支援する側、される側から、対等なパートナーへ

−シンポジウム「共に成長するアフリカと日本」開催−

2012年9月25日

【画像】アフリカ開発会議(TICAD)は、アフリカの開発をテーマに、日本の主導で5年に一度開かれる国際会議。その第5回会議が2013年6月に横浜で開かれるのを前に、JICAは9月13日、アフリカへの理解を深め、アフリカと日本のかかわりを考えてもらおうと、シンポジウム「共に成長するアフリカと日本」を開催した(共催:毎日新聞社、後援:外務省、横浜市)。

アフリカと日本の「今」を知ることから

「アフリカの今日の姿、日本との関係を知ってほしい」とあいさつするJICAの黒川理事

開会のあいさつに立ったJICAの黒川恒男理事は、1990年代にアフリカ各国で発生した紛争や内戦、難民問題に関し、「2000年前後から、紛争のあったアフリカの国々に平和が訪れ、JICAも積極的に活動している。並行して、日本とアフリカの関係は、援助する側、される側からパートナーへと変わりつつある。シンポジウムを通じて、変貌を遂げている今日のアフリカを、ぜひ知ってほしい」と訴えた。

パートナーとしてのアフリカの魅力と横浜市の強みを生かした支援について述べた林横浜市長

シンポジウムの第1部では、TICADの会場となる横浜市の林文子市長が、「未来へつなぐ−アフリカと横浜−」と題した基調講演を行った。横浜市はこれまで、アフリカの港湾管理や水道技術、野生動物保全を支援するために市職員の派遣や研修員の受け入れを実施しているほか、小学生がアフリカ諸国を勉強する一校一国運動や、市営地下鉄の駅でアフリカ諸国を紹介する一駅一国運動、アフリカの学校給食への支援など、市民レベルの交流にも力を入れている。その上で、「ビジネスの連携、女性の社会進出など、よりよい社会の構築を考えるパートナーとして、横浜とアフリカが共に成長することを目指したい」と述べた。

青年海外協力隊を経てアフリカビジネスへ

第2部ではパネルディスカッションを展開。パネリストとして、株式会社モノ・インターナショナルの市嶋千代子さん、ヤマハ発動機株式会社海外市場開拓事業部第一開拓部長の森茂人さん、セネガル・日本職業訓練センター(CFPT)のウセイヌ・ゲイ校長、外務省アフリカ部アフリカ第二課の麻妻信一課長、コメンテーターとしてJICAの黒川理事が登壇し、毎日新聞社の西川恵専門編集委員の進行で、「アフリカと日本−今を知り、未来を考える−」をテーマに議論を交わした。

森さん(左)は1986年からマラウイへ2年間、市嶋さんは2007年からウガンダに2年間赴任した

市嶋さんと森さんは、いずれも青年海外協力隊員として、ウガンダ、マラウイにそれぞれ赴任した経験を持ち、帰国後はアフリカとのかかわりを持つ企業への就職を決めた。現在、市嶋さんはケニアとエクアドルからのプリザーブドフラワーの仕入れと商品企画、森さんはオートバイや船外機のアフリカ地域への営業・マーケティング、カスタマーサポート業務を担当している。

二人は協力隊員として感じたアフリカの魅力について、「いつも笑顔が絶えず、他人と違うことをしても、それを個性として受け入れる寛大な心を持っている」(市嶋さん)、「ものが豊かでなくても、人は笑顔になれること、幸せになれることを、アフリカで学んだ」(森さん)と振り返る。また、ビジネスの可能性については、「オートバイは一人当たりのGDPが1,000ドルを超えると普及するといわれている。アフリカでは、今はまだ現実的な数字ではないが、近年の経済成長を考えると、日本や欧米のような市場に成長する可能性を秘めている」(森さん)、「アフリカは土壌が豊かで、南米とは違うバラを栽培できるのが魅力。品質と供給が今よりも安定すれば、将来性はある」(市嶋さん)と、潜在力の高さを強調した。

求められる日本企業の進出

麻妻課長(左)は「グローバルな課題の解決には、アフリカの協力が不可欠」、ゲイ校長は「日本の企業にもっと出てきてほしい」と訴えた

CFPTのゲイ校長は、日本で日本語と機械工学の専門技術を学んだ経歴を持つが、「技術だけでなく、5S(整理、整とん、清掃、清潔、しつけ)などの日本特有の考え方が、セネガルの職業訓練にも生かされている。また、直接、生徒を指導するヨーロッパの支援と違い、日本の支援は指導員を育てることを重視するため、支援終了後も人材育成を継続させることができる」と日本の支援を評価。一方で、「卒業生を採用しているのはほとんどがヨーロッパの企業。日本の企業も、アフリカに進出し、ぜひともわが校の卒業生を採用してほしい」と訴えた。

「TICAD開催を主導したことは、日本外交にとって大きな意義がある」と評価する西川専門編集委員

こうした声を受け、JICAの黒川理事は、「今、アフリカ諸国が日本に求めているのは、援助だけではなく、日本の企業が進出し雇用を生み出すこと。JICAとしても、アフリカの抱える開発課題の解決に貢献する進出を支援したい」とコメント。また、外務省の麻妻課長は「日本の企業は、現地で雇用を創出するなど、コミュニティーを支援しており、アフリカでは評価を受けている。日本ではアフリカ市場の情報を得にくく、企業が迅速に行動に移せないという側面もあるが、国の戦略としてパートナーシップの強化を図る必要がある」と述べた。最後に、毎日新聞社の西川専門編集委員は「今日の議論が、日本とアフリカの今後を示唆するものになればうれしい」とシンポジウムを締めくくった。