第8回「JICA理事長表彰」表彰式を開催

2012年10月11日

10月3日、JICA市ヶ谷ビル(東京都新宿区)で、第8回JICA理事長表彰の表彰式が行われた。今回「JICA理事長賞」(注1)を受賞したのは個人4人と4事業。また、同時に「JICA国際協力感謝賞」(注2)を個人7人と10団体が受賞した。

表彰式参加者と田中理事長(前列左から3人目)、堂道秀明JICA副理事長(その右)

表彰式の冒頭、あいさつに立った田中明彦JICA理事長は、「先の東日本大震災の際には、開発途上国を含む多くの国や地域から支援をいただき、これまで日本が行ってきた国際協力の存在意義を再確認した方も多かったのではないか。受賞者の皆さんによる活動や尽力によってJICAの国際協力は成り立っており、それが今回の震災時の途上国からの支援につながったのだと思う」と感謝の意を表し、「今後もJICAは関係者の皆さんの力を借りながら、世界を元気にすることで、日本も元気にする国際協力を行っていきたい」と結んだ。

協力隊での活動経験を生かす

続いて壇上では表彰状の贈呈が行われた。JICA理事長賞の専門家・ボランティア部門で受賞した元青年海外協力隊員の河内毅さんは、グアテマラで村おこしに携わり、人と人とが自然と手を取り助け合うコミュニティーの豊かさを学んだ。帰国後、河内さんは、中越地震からの復興支援で行政と住民とをつなぐ役割を担うなど、地元の新潟県をはじめ、地方に山積する課題の解決に取り組んだ。東日本大震災後は、仮設住宅入居者の見守り支援を岩手県陸前高田市で実施するなど、協力隊での知見や経験を生かした社会還元活動が高く評価された。

懇親会で、活動内容を田中理事長(右)に説明する河内さん(左)と田谷さん(中央)

福井県で「農園たや」を経営する、元青年海外協力隊員の田谷徹さんは、小規模多品目を念頭に、市場などから出る生ごみで堆肥を作るといった循環型農業を実践し、50種ほどの野菜を有機肥料のみで栽培している。また、隊員時の赴任国であるインドネシアから農業研修生を受け入れ、勉強会などに地元の若手農業者を巻き込むことで、地域の活性化につなげ、帰国した研修生の起業を支援するため、マイクロファイナンスや情報交換を行う任意団体を立ち上げ、切れ目のない支援を行うといった活動が評価された。

日本の「国民所得倍増計画」の考え方を採用

「成果を残せたのは、エジプト政府関係者、JICA中東・欧州部、エジプト事務所の皆さんのおかげです」と鳴尾さん

続いて、「アラブの春」を経て、2012年に新大統領が決定したエジプトで、持続可能な経済社会の発展を目指す開発計画の策定を支援した元JICA専門家の鳴尾眞二さんが表彰状を受け取った。鳴尾さんは、豊富な知識と経験に基づく高い専門性、業務に取り組む真摯(しんし)な姿勢や、その人柄により、赴任直後からエジプト計画大臣の厚い信頼を得て、首相や閣僚に直接業務内容を報告する機会を得るなど、極めてインパクトの高い業務に携わり、日本政府やJICAの支援の重要性を高めた。

受賞に際して「20年間民間企業に勤め、独立してから8年間、国際開発協力などを手掛けてきました。このようにすごい賞をいただき、あと10年くらいは頑張れるかなと思います」と喜びを語った。

西アフリカに広がる「みんなの学校」

原さん(右)はJICA研究所との連携の下、『西アフリカの教育を変えた日本発の技術協力』(ダイヤモンド社)を出版

続いて表彰を受けたのは、ニジェールの「みんなの学校」プロジェクトで中核的な役割を果たした、元JICA専門家の原雅裕さん。2004年に開始された、住民参加型の学校改善の計画実施を推進するこのプロジェクトは、ニジェール政府から高く評価され、全国1万3,900校すべての小学校へと普及が進み、教育の質の改善に大きく貢献。セネガル、ブルキナファソ、マリなどの周辺諸国からも協力要請が出されるといった広がりを見せている。原さんは「皆さんに支えていただき、受賞することができました。ニジェールの地域開発は、まだまだ足りないところが多いので、これからも頑張っていきたい」と思いを語った。

このほか、「JICA理事長賞」の事業部門で、大学施設の整備や教職員研修を通じて日中間の相互理解の増進に寄与した中国「陝西省人材育成事業」、経済の活性化と環境改善に貢献したインド「デリー高速輸送システム建設事業(I)〜(IV)」、森林伐採の減少に貢献したブラジル「アマゾン森林保全・違法伐採防止のためのALOS衛星画像の利用プロジェクト」、家族計画に関連する政策環境の改善や、サービスへのアクセス向上に寄与した「ヨルダン南部女性の健康とエンパワメントの統合プロジェクト」が受賞した。

日本の国際協力に対する国際社会の評価

壇上では引き続き、「JICA国際協力感謝賞」の表彰が行われ、当日出席の受賞者4人と5団体の代表者に感謝状が贈られた。

「日本の国際協力の中身は多様化・高度化し、より一層充実してきています」と廣野さん

最後に、「JICA国際協力感謝賞」を受賞した成蹊大学名誉教授、政策研究大学院大学客員教授で公益財団法人日本国際フォーラム上席研究員の廣野良吉さんが、全受賞者を代表して謝辞を述べた。半世紀以上の長きにわたり、国際協力に貢献してきた廣野さんは、日本の国際協力の歴史を語るとともに、「至る所でJICAや日本の国際協力に対する、国際社会の評価や称賛を耳にしてきました。一人の日本人として大変うれしく思うと同時に、世界の市民社会の人々と共に感謝しています。今後も激動する国際社会の中で、JICAには、国際社会の敬愛と好意ある提案をしっかりと受け止め、名誉ある国際協力の道を、着実に歩んでいただきたい」と力強く語った。





(注1)協力目的を高い成果をもって達成し、開発途上地域の経済・社会の発展、住民の福祉の向上などに大きく寄与するとともに、わが国の国際協力の声価を高めるなど、他の模範となるような特に顕著な功績を収めた事業または、専門家、ボランティアなどの個人を対象とする。
(注2)JICAが行う国際協力の業務に長年にわたって貢献または協力し、特に功績があった個人と団体を対象とする。

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