もやし種子、バングラデシュから日本へ

−調査事業でBOPビジネス促進−

2012年12月21日

2012年12月10日、バングラデシュで栽培された緑豆が、初めて日本に到着した。この緑豆は、株式会社雪国まいたけがJICAの協力準備調査(BOPビジネス連携促進)を活用し、バングラデシュの農家を指導して生産されたもの。この緑豆からもやしが生産され、来春には日本の店頭に並ぶ予定。

緑豆

日本で消費されるもやしの種子となる緑豆は海外からの輸入に頼っているが、世界的な穀物価格の高騰により、緑豆の価格も大幅に上昇。これまでほぼ100パーセント中国から輸入していた雪国まいたけは、仕入先の多様化により、安定的な供給確保を目指している。

緑豆の発芽した芽の部分をもやしとして食べる

同社の緑豆栽培事業は、2010年度に独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)の制度を利用して、バングラデシュで緑豆の実証栽培を行ったことに始まる。その後、2011年7月に、同社はバングラデシュのグラミン・クリシ財団と九州大学との間で合弁会社を設立し、緑豆栽培を通じたバングラデュのBOP層(注1)の所得向上に取り組んでいる。

BOP層の所得向上に貢献

緑豆を収穫する女性たち

この事業が軌道に乗れば、バングラデシュの農家は、日本の技術を導入することにより緑豆の収量・付加価値を向上させることができ、同時に雪国まいたけの契約農家になることで、買い取り価格が保証される。また収穫後の選別作業などで女性の雇用が生み出せるため、農家の所得向上にもつながる。今回の準備調査事業だけで、約7,500人の農家が参加しており、今後もその数の伸びに期待がかかる。

参加した農家からは、「契約農家になれば、価格保証により収入が安定する」「緑豆は農閑期に栽培できるので、収益増になる」「緑豆栽培のために人手が必要になるので、地域の雇用増にも結び付く」など、収入面でのメリットに関する声が上がった。「私は勇気を出して50デシマル(0.2ヘクタール)の土地に緑豆を植えた。その成果を見た近所の人々は、この事業を通じた緑豆栽培に意欲を示している」など、農家からの期待も大きい。

収穫した緑豆の6割は、合弁会社が日本向けに輸出し、雪国まいたけが購入する。残りの4割は同国内で低価格で販売され、現地の食糧供給に役立てる。さらに、合弁会社の全利益はバングラデシュのソーシャルビジネス(注2)の推進や貧困層の農民支援に活用される予定だ。

ビジネス確立までの苦労

農村での事業説明には大勢の人々が集まる

日本への初輸出を果たした現地の雪国まいたけ担当者は、立ち上げ当初の苦労を、こう語る。「日本では主に『もやし』として食される緑豆ですが、バングラデシュでは豆のまま砕いて『豆カレー』にして食べてしまう。市場に並んだ豆は砕かれているので、もやし原料に求められる品質概念はないに等しい。まず、なぜ品質の良い緑豆を作らなければならないのかを、農家に理解してもらうために説明するところから始まりました」

農村各地でバングラデシュ人スタッフと共に、農家との会合を何度も開いた。自分たちが求める緑豆品質を説明し、そのために必要な技術を指導して回った。そして緑豆栽培が農家の所得向上につながる事業だということを繰り返し伝えたという。

「今回、一定品質を確保した緑豆を日本に輸出できたのは、農家の方々が事業による所得向上などのメリットを感じ、もやしの原料としての緑豆に求められる品質概念を理解してくれたからこそ。一人でも多くの農民と共に、バングラデシュでの事業を拡大していきたい」と意気軒高だ。


(注1)Base of the Pyramid、低所得者層。
(注2)環境や貧困などの社会的課題を、ビジネスを通じて解決していこうとする活動。