【Featuring Africa】大分発、マラウイで広がる一村一品運動

−JICA支援グループが平松賞受賞−

2013年5月2日

1979年に大分県知事(当時)の平松守彦氏により提唱・推進された「一村一品運動」。コミュニティーの人と資源を活用した「一品」を生み出し、住民主導で地域振興を図る取り組みとして日本各地に広がり、近年はアジア、アフリカなど途上国を中心に世界各地で実践されている。

マラウイで花開いた一村一品運動の芽

一村一品生産者グループが参加するマラウイ国際見本市。40点以上の製品が並ぶ

アフリカのマラウイでは2003年、一村一品運動に共感した当時の大統領が、国家プロジェクトとして一村一品事務局を設置。各県に一村一品担当官を配置し、一村一品のコンセプトを全国に発信。地域産業の発展を目指し、やる気のある協同組合や生産者グループを一村一品グループとして選び、政府の支援とともに事業を展開していった。

それから10年。現在、マラウイの生産者グループは100を超え、一村一品運動に携わる人は2万8,000人以上に達している。毎年行われるマラウイ国際見本市には、地域の特産品である一村一品商品がずらりと並ぶ。NPO法人大分一村一品国際交流推進協会は、毎年開催される一村一品国際セミナーで、特に優良な団体に「平松賞」を授与しているが、2008年は「クンボ・オイル協同組合」、2012年は「カムウェンド・クッキングオイル協同組合」と、マラウイの食用油の生産者グループが受賞しており、マラウイの国を挙げての継続的な努力が高く評価されている。

マラウイの一村一品運動の特徴的な点としては、国家プロジェクトとして配置された県一村一品担当職員が、各グループの工場やオフィスを個別に巡回し、経営状況を確認するとともに、彼らの新たなアイデアを取り込み、製品開発や品質管理の指導を行うなど、問題解決のファシリテーターとして地道に取り組んでいることが挙げられる。

世界で広がる一村一品プロジェクト

昨年タイ・バンコクで開催された一村一品国際セミナーに参加した、マラウイ一村一品事務局の事務局長(中央)とマーケティングチーフ(右)

JICAは2005年からアフリカの一村一品運動を支援している。マラウイは大統領の強いイニシアチブがあったこともあり、アフリカ諸国の中で最初に技術協力プロジェクトによる支援を開始。2013年4月現在、マラウイ、ケニア、セネガルなど8ヵ国で支援を展開・準備中であり、それ以外にも大分での研修に参加したアフリカの行政官は数知れない。また、アフリカのほかにも、中央アジアのキルギス、南米のコロンビアやエルサルバドルなどでJICAによる支援が行われ、国ごとに一村一品運動が展開されている。

マラウイでは、2005年から2010年まで、一村一品運動の制度構築を行う技術プロジェクト「一村一品運動のための制度構築と人材育成プロジェクト」を、2011年からは5年間の予定で「一村一品グループ支援に向けた一村一品運動実施能力強化プロジェクト」を実施している。現在は、生産者グループや県一村一品担当官を対象に、コンセプトの普及、商品の付加価値および品質管理技術の向上、基礎ビジネススキルの能力向上、マーケットとの連動強化を図る一方、首都のリロングウェにアンテナショップを開設し、販売促進活動を行っている。

JICAが支援する一村一品運動は、主に地方の小規模な生産者グループを対象にしている。しかし、文字の読めない人や高齢者、ビジネス経験のない人もいて、生産販売活動を継続して行うことが難しい場合もある。そんな中で、ビジネスのベースとなる協同組合を対象に、協同組合運営、経営指導、品質管理運営手法などの研修やビジネス現場の体験、顧客との営業実践などを通じて、人々のやる気を行動に変えてきた。

達成したいという情熱、誇りが原動力

平松賞の受賞を喜ぶオイル協同組合のメンバー。中央のゼンベニ氏が持つのが製品化された食用油

今回、平松賞を受賞した「カムウェンド・クッキングオイル協同組合」も、一村一品事務局が支援する生産者グループの一つで、地元産のピーナッツやヒマワリの種から油を取り、食用油を製品化している。受賞について、代表のマキシミアーノ・ゼンベニ氏は「これまでやってきた活動が正しかったと勇気づけられた」と喜びを語り、このグループをサポートしてきた県一村一品担当官のダンカン・カンピニ氏は「グループは地域のリソースを有効に使うとともに、マイクロファイナンス機関や大学など、さまざまなステークホルダーを有することで新しい情報や支援を得ることができた。もっと働きたい、何かを達成したいという情熱はどこにも負けない」と振り返った。

また、同グループを支援してきた青年海外協力隊の林未由隊員(写真左上、神奈川県出身)は、「ゼンベニさんの負けない精神が実を結んだ。青年海外協力隊員としてこの時期にこの素晴らしいグループとかかわることができて光栄に思う」と受賞を喜ぶ。JICAプロジェクトの岡田鉄太専門家(宮城県出身)も「グループのメンバーが、ビジネス活動を通じて楽しく、幸せだと喜び合っている。自分自身の誇りを醸成することが、一村一品の大きな原動力になっている」と語る。

一村一品運動により、ビジネスを通じたコミュニティーの活動は、人々の意識を変え、世界に目を向けさせている。マラウイの一村一品プロジェクトでは、今後、県一村一品担当官のビジネスファシリテーション能力のさらなる向上を目指し、研修や販売促進活動を通じて、より実践的な支援を行っていく。


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