秋篠宮同妃両殿下ならびに眞子内親王殿下がJICA専門家にご接見

2014年3月18日

ご接見を賜った5人の専門家(前列左から、前田さん、岩本さん、長山さん、後列左から、相川さん、大井さん)

アフリカ、アジア、中南米などで活動したJICA専門家5人が、3月11日、東京・元赤坂の秋篠宮邸で、秋篠宮同妃両殿下ならびに眞子内親王殿下にお目にかかり、それぞれの活動を報告した。

帰国した専門家は、2004年3月からほぼ年1回、4〜5人ずつ秋篠宮同妃両殿下にご接見を賜っている。今回、ご接見を賜ったのは、相川次郎さん(千葉県出身)、岩本あづささん(栃木県出身)、大井英臣さん(香川県出身)、長山勝英さん(岡山県出身)、前田泰昭さん(大阪府出身)の5人だ。

ケニア小規模農家の所得倍増とラオス母子保健サービスの効率化に貢献

「病院に行こう」キャンペーン(2006年)で白マスクの「スマイルマン」、黒マスクの「ウイルスマン」と共に街を練り歩く住民

相川さん(JICA国際協力専門員)は、ケニアの「小規模園芸農民組織強化計画」(SHEP)(2006〜2010年)のチームリーダーとして活動。農家にありがちな「作った後で売り先を探す」ではなく、「まず売ることを考え戦略的に作る」という意識の変革を行い、農家のモチベーションの向上と技術力の改善に大きく寄与し、3年間で農家約2,500人の所得を倍増させた。女性が積極的に意思決定に参画できるよう促したことも成功要因の一つとなった。現在は、ケニア全土にSHEPを広げる後継プロジェクトを実施中。また「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」で、安倍晋三首相がスピーチで触れたように、SHEPはアフリカ10ヵ国で展開される予定だ。

岩本さん(国立国際医療研究センター国際医療協力局派遣協力課医師)は、ラオスの「子どものための保健サービス強化プロジェクト」(KIDSMILEプロジェクト)に、2004年から2007年までチーフアドバイザーとして派遣され、小児保健サービス改善の活動で、保健省内の各部局間、保健省と二つの県内全郡の保健局間という「縦と横」の連携強化に力を注いだ。その後「保健セクター事業調整能力強化(フェーズ2)」(2011〜2013年)でもチーフアドバイザーとして活動。全国でバラバラに実施されてきた各種事業を調整・統括し、予防接種や妊婦健診などの母子保健サービスを可能な限り効率的に行う仕組みをつくり、その活用を支援した。

カリブで洪水警報機器を開発、モンゴルで都市計画に尽力

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)で洪水警報機器の説明をする大井さん(右から2人目)

大井さん(元JICA国際協力専門員)は、「カリブ災害管理プロジェクト」(2002〜2005年)で活動。安価で操作・維持が簡単な洪水警報機器(雨量計・水位計)を開発し、現在も改良を重ね国際機関などを通じて世界的普及を目指している。カリブの島嶼(しょ)国は国が小さく、一つのハリケーンが国全体に被害を及ぼすが、被害の絶対値が小さいので世界から注目されることが少ない。またカリブ・中南米に共通して、大都市周辺の丘陵地に密集する貧困集落の土砂災害が課題で、JICAもブラジルなどで防災に協力している。

長山さん(株式会社アルメックVIP代表取締役)は、モンゴルが社会主義から自由経済に移行した1990年代から、民間のコンサルタントとしてウランバートルの都市計画・整備に携わってきた。その経験からJICAの「ウランバートル市都市計画マスタープラン・都市開発プログラム調査」(2007〜2009年)では総括として、2030年までの長期ビジョンを作成。そのビジョンに基づいた「都市開発実施能力向上プロジェクト」(2010〜2013年)では、都市計画関連法制度の業務主任として活動。政府主導ではなく、市民主体の都市づくりの必要性を説き、関係機関や市民に浸透させていった。

ベトナム環境政策の礎を築く

ハノイにある病院の伝染病棟近くの排水をサンプリングする前田さん(手前)

前田さん(大阪府立大学名誉教授)は、環境政策アドバイザーとして、2004年にベトナム天然資源環境省に初代JICA専門家として赴任、2008年9月まで務めた。急速な経済発展による環境汚染問題が顕在化した時期に、環境基準の設置や環境管理の手法、地方自治体との連携などについて大臣や各部局の局長と話し合った。ベトナム64州中45州の地方環境部を訪問し、その実態を把握するとともに、環境管理について日本の経験を伝えた。また次世代を担う若い行政官を日本での研修に送り出し、日本の進んだ環境社会を、実際に目で見て、考える機会を多く設けた。

ご接見後、JICA本部(東京都千代田区)に戻った専門家は、秋篠宮同妃両殿下ならびに眞子内親王殿下が、家族的なくつろいだ雰囲気で迎えてくださったと口々に語った。またモンゴルの遊牧民の生活から、母子保健や結核予防、アフリカで生産されている野菜の種類、防災に至るまで、それぞれの分野について熱心に質問してくださったことから、「貴重な経験に感謝する」「任務遂行に向けて、気持ちを新たにした」「今後の活動への力をいただいた」などと述べた。