都市計画マスタープラン策定中のコートジボワールで「AAセミナー」を開催

2014年4月7日

大西洋に面し、かつて「アフリカのパリ」と呼ばれ、美しい景観を誇ったアビジャン

西アフリカに位置するコートジボワールのアビジャンで3月18〜20日、「第5回アジア・アフリカ都市開発経験共有セミナー(AAセミナー)」が開催された。「AAセミナー」はアジアとアフリカの都市開発における知見や経験の共有を目的として、JICAが主催国のカウンターパート(注1)機関と共催している。

2011年にダカール(セネガル)で第1回を開催して以来、2012年にハノイ(ベトナム)、クマシ(ガーナ)、2013年にアクラ(ガーナ)と開催されてきた。今回はJICAが実施中の「大アビジャン圏都市整備計画策定プロジェクト」のカウンターパート機関、コートジボワール建設住宅衛生都市計画省と共催した。

アビジャン都市開発マスタープランは「AAセミナー」から生まれた

参加者で満席の会場

大西洋に面した赤道近くの街アビジャンは、数年前まで内戦状態にあったコートジボワール最大の都市だ。街には緑があふれ、車や人の往来も多く、内戦を経験した街とは思えないにぎわいを見せる一方で、市街中心地の建物の多くは老朽化が進んでいる。

フランスの植民地であり、独立後もフランスにとって西アフリカ貿易の拠点として重要な都市だったことも影響し、アビジャンはアフリカでは非常に珍しく、現代都市計画の古い歴史を持っている。独立前の1928年から4次にわたって都市計画の改定を重ね、都市の成長をコントロールしようと努めていた。しかし2002年に始まった内戦により都市開発規制が手つかずとなり、その間に人口は2倍にも膨らんだ。貧困層が増加し、無秩序な土地利用と生活インフラが絶対的に不足する都市へと変貌してしまった。

内戦中、協力を中断していたJICAは、内戦終結後2011年の協力再開に当たり、再開を象徴するプロジェクトとして、人口550万人といわれる西アフリカ有数の大都市アビジャンの都市開発マスタープランの策定支援を開始した。そもそもこのプロジェクトは、第1回、第2回の「AAセミナー」に、コートジボワール建設住宅衛生都市計画省のクラ・クマン都市計画局長が参加し、JICAの支援で科学的な分析に基づき各国で策定されてきた都市開発マスタープランに感銘を受け、日本に支援を要請したことに端を発している。

民間投資の誘致に高い関心

水上バスで市内の視察に向かうセミナー参加者

今回の「AAセミナー」には、JICAが都市開発マスタープラン策定を支援している国の中からインドネシア、ガーナ、ケニア、コートジボワール、セネガルの政府都市計画関係者約50人が参加した。各国の代表者が都市開発マスタープランの策定段階や同プランの実施段階での経験や課題を発表し、質疑応答やパネルディスカッションを行った。特に都市開発への民間投資の促進や土地収用の問題に対する関心が高かった。

セミナーの目玉として、18日、ベトナムのハイフォンにある野村ハイフォン工業団地の開発会社社長として、企業誘致などの実績を持ち、現在はハイフォン市のビジネス投資環境アドバイザーを務めるJICAの湯元英一専門家が講演した。湯元専門家が語る民間投資を誘致するためのアイデアや方策は、工業団地や経済特区などの土地利用計画を立案しても、計画通りに企業が進出せず、土地が空き地のままという経験を持つ行政官の関心を引き付け、「他のアジア諸国での経験を学び、議論を深めたい」というアフリカの参加者の声が多数聞かれた。

19日の午後には、アビジャン市内の都市開発事業を視察。参加者は水上バスで、アビジャン港や市街地と、市街地南部に位置する島を結ぶ3本目の橋梁(りょう)の建設現場などを訪問した。

次回はケニアで開催

建設中の第3橋梁

セミナーに参加した国々の開発段階は異なる。セネガルはこれから都市開発マスタープランを策定(更新)する段階にあり、コートジボワールとケニアは現在マスタープランを策定中。インドネシアとガーナはマスタープランの策定を終え、実施している段階にある。

しかし各国の発表や質疑応答、パネルディスカッションなどを通じて、共通の課題が浮かび上がってきた。それらは1)都市開発マスタープランと公共交通の統合(TOD)(注2)の実現、2)ステークホルダー(当事者)の参加、3)財源確保、4)民間投資の促進、5)工業団地の促進と雇用創出、6)土地収用、7)中央政府と地方政府の役割分担の明確化、の7点だ。

最終日の20日、これらを解決するための最終宣言が取りまとめられ、主催者の代表としてクラ局長が読み上げた。次回は、自ら手を挙げたケニアで、今回議論を深められなかった、都市開発マスタープランを実現するためのツール(土地利用管理、土地収用、都市開発プロジェクトの資金調達など)や、都市開発事業実施に当たっての民間セクターの巻き込みといったテーマについて議論する予定だ。


(注1)技術移転や政策アドバイスの対象となる相手国行政官や技術者。
(注2)Transit Oriented Development。公共交通機関に基盤を置き、自動車に依存しない社会を目指した都市開発。