紛争下でも続く南スーダンのごみ処理支援

−関係者が隣国ウガンダに集まり会議を開催−

2014年5月14日

2011年7月、半世紀近い内戦を経て独立した後、新しい国づくりが進められてきた南スーダン。しかし、昨年12月、政府内の対立による戦闘が発生し、多くの死者と難民を発生させ、独立以降、最大の危機に直面している。両者の歩み寄りは進んでおらず、安定した生活が戻ってくるまでの道のりは長い。

ないないづくしからのごみ処理立ち上げ

パイロット活動開始前のマーケット

約30万人が暮らす南スーダンの首都ジュバ。独立後、近代的なビルの建設や道路の舗装が急ピッチで進むなど、急速な都市化に伴い、多くの公衆衛生上の問題が発生している。市民の健康を守り、国の発展を進めるためには、衛生環境の改善は欠かせない。特に廃棄物は、ハエなど伝染病を媒介する生物の発生源となり、景観も大きく損なうため、早急な対策が求められている。

ジュバのごみ収集は、地方行政を担うジュバ市役所が担当している。しかし、2011年に設立されたばかりの新しい市役所には、ごみ収集についての基本的な知識も経験も蓄積されてなかった。このため、不定期に集められたごみは、ジュバ市の郊外にある穴に無造作に捨てられ、適切に処分がされないために周辺の道路にはみ出し、環境汚染が広がっていた。

このような状況を改善するために、JICAは2011年10月から技術協力プロジェクト「ジュバ廃棄物管理能力強化プロジェクト」を通じて、ジュバ市役所、ごみ処分場があるジュバ郡、南スーダン環境省の廃棄物管理能力強化を支援している。

ごみ処理は公共サービスである

【画像】

住宅地での収集(左)、マーケットでの収集(右)

プロジェクトでは市、郡、国の三つの機関のスタッフが参加する「ジュバ廃棄物管理グループ」をつくり、収集から処分までのごみ処理プロセスのすべての問題点を共に話し合い、その改善策をパイロットプロジェクトとして実施する中で、グループのメンバーに公共サービスとしてのごみ処理の重要性を粘り強く伝えてきた。

JICAと市役所がそれぞれ収集車両を提供した「定時定点収集」(決まった時間に決まった場所で行う収集)は、マーケットと住宅地の六つのパイロット地区で、店舗や住民を巻き込んで安定して行われるようになり、問題が起きて収集が滞った際の対処も少しずつできるようになってきた。環境汚染が広がっていた処分場に関しては、新たに25ヘクタールの土地を確保し、ごみを適切に埋立てるコントロールドダンピング(注)のシステムを導入。ごみを搬入する車両から徴収した料金を、ブルドーザーの運転や維持管理に充て、処分場としての運営管理を自律的に行えるまでになった。また、住民啓発のためのクリーンアップキャンペーンを、国連平和維持活動(PKO)で現地に派遣されている自衛隊と共同で実施し、住民集会やバスツアーなどを通じて住民のごみ処理に対する意識を高めてきた。

ウガンダで会議開催

市役所スタッフが現状を説明

ようやく軌道に乗り始めた活動は、2013年12月に現大統領派と前副大統領派の間で始まった戦闘によって中断を余儀なくされ、市が購入した収集車の頻発する故障も相まって、ごみ収集の継続が危ぶまれる状況となってしまった。このままでは、せっかくの活動の成果が現地に定着しなくなってしまうため、2014年10月のプロジェクト終了まで、プロジェクトの現地スタッフを通じた活動を実施することになり、4月24、25日には、活動内容を話し合う合同調整委員会を、隣国ウガンダの首都カンパラで開催した。

会合は、ジュバ市役所のハキム・デン・マジェク市長、ジュバ郡庁のステファン・ワニ・マイケル・カヤ・コミッショナーらも参加して行われ、まず、戦闘発生以降の市内のごみ収集・処理の状況を報告。日本人専門家や関係者にとってうれしい驚きだったのは、混乱の最中にもかかわらず、ジュバ市の行政体制の見直しが行われ、市内のごみ収集区域が設定し直され、それぞれの区域に担当者が割り振られたことだった。

石井明男専門家がこれまでのプロジェクト活動を説明

こうした現状を踏まえて、残る半年の期間で、住宅地での収集を継続して行うために欠かせない、料金徴収のパイロットプロジェクトを行うこと、ゴミ収集事業に関する認識を高め、予算確保を容易にするために、前年度の活動を記した報告書と次年度の活動計画を作っていくこと、また、今後の廃棄物管理の中長期プランとしての廃棄物管理計画を作ること、などが合意された。

協議の中で南スーダンの参加者から「料金徴収実施に当たっては、定期的な収集を実現すると同時に、ごみ処理の重要性や料金徴収制度について理解してもらう住民集会を開く必要がある」「適切な予算管理のためにも計画作りが必要」といった意見も出された。プロジェクトの石井明夫専門家は、「プロジェクト開始当初には考えられなかった発言。何もなかったところから2年間で大きく進歩した」と感慨深げだ。

持続的な廃棄物管理を目指して

住民に対する公共サービスであるごみ処理には、継続性、安定性といった要素が求められる。現時点では不十分な点は多いが、ごみ処理に対する関係者の意識も少しずつ変わってきている。今後は、料金徴収を通して、手薄になっている住宅地でのごみ収集を継続していく道筋を立てることが重要であり、予算確保の面では、年間を通してどのように廃棄物管理を実施していくのかという計画が欠かせない。

残るプロジェクト期間は半年。その中で、こうした取り組みを通じて、公共サービスとして少しでも持続可能なごみ処理ができるよう、JICAは引き続き支援を続けていく。


(注)空地などにごみを投棄するだけのオープンダンピングに対し、埋立区画を整備しごみを埋め立てて固め、定期的に土で覆うことによって、ごみの飛散、悪臭、浸出水、ハエなどの発生を抑える衛生的に改善された処分場。