秋篠宮同妃両殿下ならびに佳子内親王殿下がJICA専門家にご接見

2015年9月1日

ご接見を賜った4人の専門家(左から力丸さん、佐々部さん、大類さん、栗林さん)

アフリカ、アジア、中東などで活動したJICA専門家4人が、8月24日、東京・元赤坂の秋篠宮邸で、秋篠宮同妃両殿下ならびに佳子内親王殿下にお目にかかり、それぞれの活動を報告した。

帰国した専門家は、2004年3月からほぼ年1回、4〜5人ずつ秋篠宮同妃両殿下にご接見を賜っている。11回目となる今回、ご接見を賜ったのは力丸(りきまる)徹さん(福島県出身)、佐々部圭二さん(東京都出身)、大類久里(おおるい・くり)さん(神奈川県出身)、栗林伸昭さん(東京都出身)の4人だ。

イエメンの栄養保健サービス提供とカンボジアの下水・排水改善に貢献

コミュニティー・ヘルス・ボランティアの研修は、1週間にわたって行われる

力丸さん(JICA国際協力専門員)は、イエメンの保健人口省にて、2009年9月から2011年6月まで、コミュニティーで活躍するコミュニティー・ヘルス・ボランティアの制度を国家レベルで構築し、さまざまな栄養保健サービスの提供を可能にする活動を行った。イエメンでは多くのコミュニティーが山岳地帯または砂漠地帯に点在しているため、住民の多くが保健や栄養の行政サービスにアクセスしづらい状況で、世界のワースト10にランクされるほど子どもの栄養状態が悪いなど、とりわけ女性と子どもに対するこれらのサービスが非常に停滞していた。力丸さんの活動は、こうした状況に対処するための制度作りに取り組んだもので、まずは保健人口省などとも協力して、コミュニティー・ヘルス・ボランティアのための国家レベルのガイドラインを制定。次いで、研修に必要な教材を開発し、対象となる村からボランティアを担う人を募集し研修を実施することで人材育成を行った。

プロジェクト運営委員会会議(中央はプノンペンのイエン・オニー副知事、左から2人目が佐々部さん)

佐々部さん(株式会社建設技研インターナショナル代表取締役社長)は、「プノンペン都下水・排水改善プロジェクト」で、マスタープラン策定作業に取り組んでいる。佐々部さんは、JICAが1999年に実施した「プノンペン市都市排水・洪水対策計画調査」の調査団統括としてマスタープラン策定に携わり、続く洪水・浸水対策事業でも(株)建設技研インターナショナルとして基本設計、詳細設計、施工管理を担当した。その後、人口増加や市街地の拡大が急速に進み土地利用状況の大きな変化によって見直しが必要になったことから今回のプロジェクト実施が決まったもので、「汚水対策と雨水排水改善が実施されること」を目標に、プノンペン都公共事業運輸局の職員と共にマスタープラン策定作業を進めている。1999年のマスタープランに続く排水改善対策事業は、道路や橋梁の建設のような便利さが理解されやすい事業ではないにもかかわらず、今でも住民から感謝されることが多く効果が実感されており、今回のプロジェクトでの目標の達成が望まれている。

ブータンの地方電化とモザンビークの港湾開発に尽力

太陽光発電利用者への研修を行う大類さん(中央)

大類さん(JICA産業開発・公共政策部)は、ブータン電力公社に派遣され、「地方電化促進プロジェクトフェーズI・II 」(フェーズIは2008-2011年、フェーズIIは2012-2014年)に携わった。ブータン政府は、都市部と地方農村部の格差是正の一環として、電化率100パーセントの達成を目標に設定。電力公社が、険しい山地に点在する集落に電力を供給するという難題に直面していたことから、JICAは地方電化の運用・維持管理能力の向上を支援した。大類さんが取り組んだ、地方農村部への電力供給での運用・維持管理に関する優先課題への対応能力の向上では、同公社の担当者自身が主体的に活動を実施したことで、「自ら課題を解決するための能力向上を図ることができた」と振り返る。また、マニュアル整備では、常時携帯できるようポケットサイズ版にする、視覚的・直感的に理解しやすい工夫をするなど現場の実態に合わせたことが、関係者からの評価につながり、現場で幅広く活用されている。

港湾施設維持管理技術についての実地研修

栗林さん(JICA横浜)は、2012年9月から2015年3月にモザンビークの「ナカラ港開発事業(I)」で業務調整の専門家として活動。ナカラ港に駐在し、日本の港湾専門家チームの定期的な滞在や技術移転活動の全般にかかわる支援、事業関係者間での意思疎通、情報共有の促進などを行い事業の推進を支えた。モザンビーク北部の玄関口であるナカラ港は、同港からマラウイの首都リロングウェを経てザンビアの首都ルサカまでをつなぐ国際回廊「ナカラ回廊」の出入口として注目されている。在任中には日本企業などからも多くの視察者が訪れ、栗林さんが事業説明や情報提供を担った。同事業については、6月に第2フェーズを対象に円借款貸付契約が締結されており、今後もナカラ港の整備・開発へのJICAの協力が継続することが決まっている。

ご接見後、JICA本部(東京都千代田区)に戻った専門家4人は、秋篠宮同妃両殿下と佳子内親王殿下が、温かな雰囲気で迎えてくださったことに感謝していると話した。また、コミュニティー・ヘルス・ボランティアの必要性や、都市の排水改善対策、電力供給における課題、港湾開発に至るまで、それぞれの国の現状や分野についても熟知した上で熱心に質問してくださったことに対して、「大変、貴重な機会をいただいた」「今後の活動への励みにさせていただきたい」などと述べた。