「国際ガールズ・デー」に考える世界のジェンダー問題

−すべての女の子の未来を切り開くために−

2012年9月25日

10月11日は「国際ガールズ・デー」。今年から、国連が新たに制定した国際デーだ。

日本ではあまり考えられないことかもしれないが、「兄弟は学校に行けても、自分は学校に行かずに働かなくてはならない」「兄弟の方が良い食事をもらって、自分は十分な栄養が取れない」「まだ若いうちに結婚をさせられてしまう」「暴力や性的嫌がらせの被害に遭いやすい」などと、女の子だからという理由でつらく厳しい状況に置かれている子どもが、世界中には多く存在する。

「国際ガールズ・デー」は、世界中のより多くの人が、こうした女の子の状況に関心を持ち、女の子の人権を尊重するようになることを目的として制定された、いわば「世界中の女の子の未来を切り開くための日」だ。JICAは、女の子がより良い生活を送ることができるように、さまざまな取り組みを行っている。その一例を紹介したい。

女の子にも教育の機会を

真剣なまなざしで授業に臨む女の子

中東の国、イエメンは、世界で最も基礎教育の男女格差が大きな国の一つだ。初等教育(小学1〜6年生)の純就学率は、男子の85パーセントに対して、女子は65パーセントと著しく低く、成人の識字率は男性の76パーセントに対し、女性は39パーセントにとどまっている。JICAは、2005年からイエメン政府と共に、学校とコミュニティーが主体となった女子教育を推進する学校運営モデルの構築に取り組んできた。

行政の能力強化に加え、コミュニティー全体に女子教育の重要性を理解してもらうための啓発活動、学校運営へのコミュニティーの参画推進などに取り組んだ結果、学校やコミュニティーの女子教育に対する意識の変化(肯定化)、学校へ行く女子児童・生徒の増加、学習環境の改善などの成果が表れた。構築されたモデルは、今後、全国的な普及が期待されている。

社会リスクから女の子を守ろう

コミュニティーの保育施設で笑顔を見せる女の子たち

中米のニカラグアでは、近年、犯罪件数が増加傾向にあり、治安の悪化が顕著となっている。また、家庭内暴力や性的虐待などの告発件数も増加傾向にあり、これらの被害者には多くの女の子が含まれている。さらには、出生未登録や未就学のまま、恒常的な児童労働に従事させられている女の子も多い。

JICAは、このように女の子を含む住民が社会リスク(児童虐待、ドメスティック・バイオレンス、暴力、麻薬、性感染症など)に直面する機会が増える中、行政、地域、家族が連携してこれらを予防し、問題に対応するための仕組みづくりを支援。また、女性や子どもが直面する社会リスクやニーズに適切に対応できるよう、ジェンダーの視点に立ったコミュニティー調査や研修の実施にも取り組んでいる。

人身取引対策のさらなる強化を

タイ、ミャンマーに続いてベトナムでも取り組みがスタート。同国の電話相談員のミーティングの様子

急速な経済発展や情報のグローバル化に伴い、東南アジアのメコン地域では人身取引が多発している。人身取引とは、女性や子ども、貧困層といった社会的、経済的に弱い立場にある人々を、暴力、脅迫、誘拐、詐欺などによって別の国や場所に移動させ、売春や労働を強いて搾取することだ。

被害者の中には、女の子が多い。人身取引は、被害者に深刻な精神的・肉体的苦痛をもたらす重大な人権侵害であり、人道的な観点から被害者を迅速に保護することが求められる。また、同時に人身取引の予防対策や加害者の取り締まりも重要だ。

JICAは、人身取引対策を、国境を超えたメコン地域共通の課題としてとらえ、タイ、ベトナム、ミャンマー各国での取り組みに合わせて、地域全体で人身取引対策に取り組むためのネットワークの強化を支援している。被害に遭った女の子たちが、傷ついた心身を癒し、自立して社会復帰できるよう、そして、被害者を一人でも減らすことができるよう、人身取引対策のさらなる強化が期待されている。

JICAは、こうした取り組みを通じて、一人でも多くの女の子が、明るい未来に向かって歩みを進めることができるよう、今後も支援を行っていく。