マララさんの出身国、パキスタンで一人でも多くの女子に教育の機会を

−国際ガールズ・デーによせて−

2013年10月9日

教室で読み書きを学んでいる

10月11日は「国際ガールズ・デー」。世界の女子の多くが経済的、文化的な理由で学校に通えず、10代前半での結婚を余儀なくされ、貧困の中で暮らしている状況の改善を目指して、国連が2012年に制定した。

パキスタンで、女性が教育を受ける権利を訴える運動を行ってきたマララ・ユスフザイさん(16歳)が、イスラム過激派組織に銃撃され重傷を負ったのが、2012年の国際ガールズ・デー2日前の10月9日。この事件に屈さず、世界各地で精力的に女性の教育の権利を訴え続けているマララさんは、まさに「国際ガールズ・デー」を象徴する人物だ。

JICAは、このような女子が直面する厳しい状況を改善するため、世界各地でさまざまな取り組みを行っている。ここでは、マララさんの出身国、パキスタンで行っている女子教育の取り組みを紹介する。

学ぶ機会を逃した子どもたちに学びの場を

授業をモニタリングするJICAの日本人専門家(右)

パキスタンでは、基礎教育へのアクセスのない子どもたちが、全体の50パーセント以上を占め、そのうち3分の2が女子で、500万人に上る。この数は世界的に見ても、ナイジェリアに次いで多いとされる。また入学しても、小学校(5年間)を卒業するまでに約半数がドロップアウトしてしまう。こうして、学校で学ぶ機会を逃してしまった子ども、青年、成人を対象として、学びの場を提供するのがノンフォーマル教育だ。

JICAは、2004年から、パキスタンでノンフォーマル教育の普及を支援し、これまでに約18万人(うち7割が女性)に教育の機会を提供してきた。現在は、ノンフォーマル教育のカリキュラムの作成、評価手法の確立、教員研修の仕組みづくりなどを行い、生徒がより質の高い教育を受けられるよう支援している。

このプロジェクトでは、より多くの女性が教育を受けられるよう、さまざまな工夫を凝らしている。例えば、身の安全のために外出を禁じられたり、家計が苦しいため男子へ優先的に教育費が分配されるといった理由で、家族が女子を学校に通わせなかったり、ドロップアウトさせてしまう場合は、村全体で状況に目を配り、改善する取り組みを促している。また、教育内容も、実生活にかかわることが学べるよう、女性が興味を持つ切り口で作成されている。

パキスタンの公立技術短期大学で初めて女子学生を受け入れ

測量の実習をする女子学生

女子の教育機会が限られているのは、基礎教育だけではない。

工業化が進むパキスタンでは、中堅工業技術者育成の需要が高まっている中、JICAは、パキスタン第二の工業都市、パンジャブ州ラホールのレイルウェイロード技術短期大学をモデル校として、産業界のニーズに応じた人材育成能力の強化を支援している。

パンジャブ州では、学生側の学ぶ意欲や就業ニーズがあるにもかかわらず、女子が専門教育を受ける機会が限られていた。そこで、2010年、公立の技術短期大学ではパキスタンで初めて、JICAの支援する建築学科で女子学生の受け入れを開始した。

日本の無償資金協力で建設した校舎には、コモンルームという女子学生の居場所を設けるなど、女子学生が学びやすい環境を整備し、彼女たちの満足度も非常に高い。今年8月、初めての女子学生21人が無事卒業した。同大学での取り組みはパキスタン国内でも高く評価され、今後、他の技術短期大学への広がりが期待されている。

JICAは女子教育だけではなく、母子保健、人身取引対策や家庭内暴力の予防などの取り組みを通じて、世界で一人でも多くの女性の権利が尊重されるよう、今後も支援を継続していく。