世界マラリアデーによせて

−マラリア制圧に向けたJICAの取り組み−

2014年4月25日

4月25日は「世界マラリアデー」。マラリアの蔓(まん)延の防止がミレニアム開発目標(注)に掲げられて以降、日本を含む国際社会の努力により、2000年と比較して全世界でマラリア発生率は25パーセント、死亡率は42パーセント減少した。しかしながら、今もなお、毎年2億人以上がマラリアに感染し、60万人以上が命を落としている。その4分の3以上は5歳未満の子どもだ。

JICAでは、コミュニティーでの予防・治療活動の強化とともに、新しい診断法の研究開発にも力を入れている。今回は「世界マラリアデー」によせて、JICAのマラリア制圧に向けた取り組みを紹介する。

ソロモンではコミュニティーを通じたマラリア対策に貢献

ゴミ穴を掘る作業を進める住民たち。感染症予防のためには衛生環境の改善が必要

大洋州のソロモンでは、ガダルカナル島を中心に、住民自身がマラリアの予防活動を主体的に行う「ヘルシービレッジ」モデル事業を実施。その結果、予防行動を行う住民が増え、マラリア罹(り)患率も大幅に減少した。今後、このモデルが国全体に広がっていくことが期待されている。

ミャンマーでは効果的な診断・治療方法を確立

日本の支援で提供された蚊帳を、山奥の村まで運ぶ

ミャンマーのマラリアは、主に森林地帯で生活する労働者に多い。森で野宿生活をしているため、蚊帳の使用や病院での早期診断・治療が難しいことが一因だ。そこでコミュニティーのボランティアが診断・治療ができるよう教育するとともに、必要な薬が適時に配布されるよう対策モデルをつくった。これまで10年間の協力により、対象地区での死亡率、罹患率の低下に大きく貢献した。今後は、近年深刻な問題となっている薬剤耐性マラリアを封じ込めるための技術革新を支援するとともに、国家戦略づくりにも貢献していく。

ラオスでは「迅速、簡単、正確」な診断方法の開発へ

共同研究の開始に向けてラオス保健省と署名。左が武井耕一JICAラオス事務所長

ラオスでは、多くの住民を苦しめているマラリアなどの寄生虫症に対して、遺伝子を活用した迅速、簡単、正確な診断方法を新たに開発する。またメコン地域で深刻な薬剤耐性マラリアの問題に対しても、発生地や移動経路を遺伝子分析で解明し、解決への糸口を究明する。このプロジェクトは、独立行政法人国立国際医療研究センターとラオスの国立パスツール研究所との共同研究により今年5月から開始される。

JICA人間開発部次長がRBMパートナーシップの理事に就任

これらの協力に加え、日本政府とJICAは、これまで1,000万張以上の防虫蚊帳(長期残効型)や診断・治療薬を供与してきた。こうした功績が認められ、今年2月、マラリア制圧に向けた世界的枠組みである「ロールバック・マラリア(RBM)パートナーシップ」の理事に、日本政府を代表してJICA人間開発部の米山芳春次長が就任した。

JICAは、これまでの経験を踏まえ、今後、コミュニティー開発や生活インフラ整備なども視野に入れたマラリア制圧への支援を継続していく。