所長あいさつ

2024年3月にJICAザンビア事務所長として首都ルサカに着任いたしました。2024年は日本とザンビアとの国交樹立60周年という記念すべき年にあたります。60年前の1964年10月24日は東京オリンピックの閉会式であると共に、ザンビア共和国が独立した日で、閉会式でザンビア共和国の国旗が世界に向けて放映されました。その後60年間にわたって日本とザンビアの両国民が親交を深めてきたことに思いを寄せて、ザンビアの社会経済の発展と日本とザンビアとの友好関係のさらなる深化のため、より良い協力を実現していく所存です。

さて、皆さんはザンビアと聞いてどんなことを思い浮かべますでしょうか?

ザンビアには、国名の由来であるザンベジ川、世界三大瀑布の一つであるヴィクトリアの滝、世界最大のダム湖であるカリバ湖、世界第二位の深度を誇るタンガニーカ湖といった豊富な水資源に加えて、複数の国立公園があり、手つかずの自然やサファリが楽しめます。

ザンビアは銅を主力とする豊富な鉱物資源に恵まれていますが、8か国に囲まれた内陸国であるため、独立以来、外貨を獲得する手段としての銅への依存度が高く(銅とその副産物であるコバルトで輸出額の約7割を占める)、産業の多角化、輸送コストの削減(交通インフラの整備や通関手続きの簡素化・迅速化)が課題となっています。貧困率は62%(世界銀行、2022年)と高く、急速な都市化に対応するための都市開発と衛生環境の改善、農村部における小規模農家の生計向上なども重要な開発課題となっています。また、2020年11月にコロナ禍以降ではアフリカで初となる債務不履行が発生し、2021年8月に発足したヒチレマ大統領の政権は債務問題に優先度高く取り組んでいます。

他方で、73の民族が共存する多民族国家でありながら、平和な国、おだやかな国としても評価されています。民主的選挙による円滑な政権交代や、近隣国の内戦から逃れてきた難民の積極的受け入れ、さらには帰還が可能になってもなおザンビアに留まることを選択した元難民の地域社会への統合など、先進的な取り組みを行っています。

JICAは1970年代初めに協力を開始して以来、一貫して人材育成とインフラ整備に取り組んできています。中長期的な協力の中で能力強化されたザンビア側機関が南部アフリカ地域での広域拠点としての役割を担う機会が生まれつつあります。これまでの協力のアセットを活用してザンビアそして近隣国の開発課題に取り組むことに加えて、民間企業、研究機関、市民団体など国内外の様々なパートナーの皆様とともに、日本・ザンビアの双方の社会課題を繋げて解決するような取り組みにも挑戦し、新たな社会的価値の創出を行っていく所存です。皆さまのご協力ご支援を賜りますようお願いいたします。

2024年3月
ザンビア事務所長 舘山 丈太郎