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北岡理事長がGAVIワクチンアライアンスのオコンジョ理事長と対話

2020年6月9日

北岡伸一JICA理事長は、6月9日、GAVIワクチンアライアンスのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ理事長と新型コロナウイルス感染症に起因する様々な課題についてオンラインで対談しました。オコンジョ理事長はJICAが2017年に設置したInternational Advisory Board(IAB)の委員の1人です。

冒頭、北岡理事長は、IAB委員としてのオコンジョ理事長の貢献に感謝の意を表明しました。新型コロナウイルスのパンデミックは非常に重要な歴史的出来事となると思われることを強調したうえで、JICAが開始した「ポスト・コロナの世界における国際協力」についての研究を紹介しました。さらに、どのような保健医療分野の支援が、アフリカ諸国を含めた途上国に対して最も有効なのかについての研究も進めていると述べました。

これに対し、オコンジョ理事長からはまず、日本政府が6月4日のグローバル・ワクチン・サミット2020においてGAVIワクチンアライアンスに対して約3億ドルの資金拠出を表明したことに対し感謝の念が述べられました。

オコンジョ理事長は、アフリカ地域における新型コロナウイルスの影響について、各国の都市化の度合いがパンデミックの深刻度を左右しているのではないかと指摘した他、アフリカ地域では過去のポリオやエボラ出血熱等の感染症の流行の過程で、感染者の特定・接触者追跡に係る効果的なプラットフォームを発展させてきたことを披露しました。新型コロナウイルス感染拡大においても、アフリカ地域で最初の感染者が確認されて以降、都市封鎖も含めて迅速に対応していることを強調しました。加えて、国境を越えた感染拡大によってアフリカの団結がさらに強まったとも述べました。

一方で、オコンジョ理事長は、アフリカ地域においては公衆衛生上の危機以前に新型コロナウイルスに起因する経済危機が発生していると懸念を示しました。具体的には、商品価格の下落や資本の流出、通貨切り下げ、国外からの外貨送金額の減少などが経済的な悪影響をおよぼしていることを指摘しました。また、多くのアフリカの国は債務返済を行わなければならないため財政的余裕が無いことを強調し、「ウイルスには国境がない」「全ての国が安全になるまでどの国も安全ではない」という観点から、日本からもアフリカ地域への協力を呼びかけました。

これに対して北岡理事長は、JICAとアフリカ疾病予防管理センターとの覚書締結や、ナイジェリア疾病予防センターに対する資金的・技術的協力を行っていることを紹介しました。加えて、AUDA-NEPAD(アフリカ連合開発庁-アフリカ開発のための新しいパートナーシップ)が推進するアフリカ企業による医療資機材製造や機材供給計画について、協同する可能性を示唆しました。

オコンジョ理事長は、アフリカ医療従事者への支援や水・衛生分野への支援の強化、アフリカの食糧自給率を高めるための日本からの更なる支援を促しつつ、日本がこれまでこれらの分野を主導してきたことを称賛しました。また、オコンジョ理事長は「このパンデミックはアフリカを未だかつてないほど結束させている」と指摘し、アフリカはこのパンデミックに打ち勝つため一層努力すると述べました。

最後に北岡理事長は、健康や教育の課題解決に貢献してきた日本の国際協力のアプローチとその重要性に触れ、JICAは日本の独自のアプローチに基づく協力を強化していくと述べました。これに対し、オコンジョ理事長からは、アフリカに対する日本からの協力に改めて感謝の意が示されました。