現在の場所は

課題先進国から解決先進国へ -北岡理事長が政策研究大学院大学の飯尾潤教授と対話-

2020年6月19日

北岡伸一JICA理事長は、6月19日、政策研究大学院大学の飯尾潤教授とオンラインで対話を行いました。これは、JICAが立ち上げた「ポスト・コロナの世界における国際協力」研究の一環として、北岡理事長、JICA内研究会メンバーと日本の内外の有識者が、対話を通じて今後の世界と国際協力のあり方への考察を深める取り組みです。

まず、北岡理事長は、コロナ危機を変革のための機会と捉えて、日本の統治システムをより良いものにする方策を考える必要があるので、飯尾教授のお考えを伺いたいと述べました。

これを受けて、飯尾教授は、統治システムが良く機能するためには、政党が効果的に民意を吸い上げて集約すること、日本国内にある多様な知恵を活かした政策立案を行うことが必要だと指摘しました。そのためには、日本の与野党が、有権者との新しいネットワークを構築して多様な民意を集約する必要があると述べました。また、国家と社会が対立せずに協力しあうという「日本モデル」の良さを活かしながら、民間や地方自治体の創意工夫を奨励するような関係を再構築すべきだと主張しました。そして、日本が、まだどの国も解決していない様々な課題に世界で初めて直面する「課題先進国」であると指摘したうえで、それを解決する「解決先進国」になるためには、自国の強みを活かす分野と外国に学ぶべき分野を区別しながら、徹底的な議論と試行錯誤を重ねていく必要があると指摘しました。

続いて、研究会参加者も交えて、政府と自治体や民間セクターの関係のあり方、その「日本モデル」を他国でも導入できる可能性等について意見交換を行いました。

世界各国が等しくコロナ危機という未曽有の困難に直面するなか、難題の解決には、自国の良さを見直しながら、失敗を恐れず議論と試行錯誤を重ねていくことが不可欠であることを、改めて確認した対話となりました。