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「三方よしのグローバリズム」を目指して-北岡理事長が国際大学の伊丹敬之学長と対話-

2020年6月30日

北岡伸一JICA理事長は、6月30日、国際大学の伊丹学長とオンラインで対談を行いました。これは、JICAが立ち上げた「ポスト・コロナの世界における国際協力」研究の一環として、北岡理事長、JICA内研究会メンバーと国内外の有識者が、対話を通じて今後の世界と国際協力のあり方への考察を深める取り組みです。

まず、北岡理事長から伊丹学長について、世界的な視野をもって日本型経営を研究している尊敬すべき研究者である、と紹介しました。次いで本研究会の主題である、コロナ危機の教訓は何か、「ポスト・コロナの世界」がどうなるのか、日本・JICAはより良き世界の構築のためにどう貢献すべきかについて、伊丹学長のお考えを伺いました。

伊丹学長は、コロナ危機が世界経済に及ぼす影響は、1929年の世界恐慌に次ぐ大きなものとなると予測したうえで、日本が被る被害は他国に比べると相対的に小さいものとなるだろうとの認識を示しました。そして、「他人への一配慮、一手間」を惜しまないという日本の産業現場で実践されている行動原理が、マスク着用、手洗いなどの行動により、コロナ感染拡大防止にも役立ったことの意義は大きいと強調しました。さらに、「ポスト・コロナの世界」においては、市場原理主義的なグローバル化に一定の歯止めがかかるだろうとの展望を示したうえで、日本は「日本に良し、(日本企業の)進出先国に良し、世界に良し」を実践する「三方よしのグローバリズム」を政府と民間企業が一体で展開していくことが重要であると述べました。

続いて、研究会メンバーとの対談では、伊丹学長が主張する「共同体としての日本企業」(企業内のみならず、市場の取引関係でも共同体的なものをめざす)等の日本の強みは、「ポスト・コロナの世界」においても維持できるのか、それを他国でも複製することはできるのか、等について意見交換が行われました。

ともすれば私たちが忘れがちな日本企業や日本社会の強みが、コロナ危機の克服のみならず、「ポスト・コロナの世界」を「より良く再構築していく」過程でも有効であることが確認できる対話となりました。