農業開発/農村開発

ケニア共和国

基本情報

首都 ナイロビ
公用語 英語、スワヒリ語
人口 約5,400万人(2020年)
国土 約58万平方キロメートル(日本の約1.5倍)
その他 40以上の民族が居住している多民族国家

ケニアは、インド洋に面する東部アフリカの赤道直下に位置し、インド洋沿岸部から海抜152メートルまでの平野部、海抜900メートルを超える高地帯(Kenya Highlands)まで、変化に富む地形を有している。国土の50%以上は降雨の極端に少ない乾燥地帯で、遊牧による家畜飼育が住民の暮らしを支えている。南北に走るグレート・リフト・ヴァレー(大地溝帯)によって国土は二つに分断されており、東側のナイロビ周辺を含む高地帯は肥沃で農業の中心地である。南西部には、アフリカ最大のヴィクトリア湖があり、その流域に広がる平野部では灌漑農業が行われている。北部は主に乾燥地帯となっている。中央部の高地帯は農耕適地で、豊富な降雨量に支えられた紅茶、コーヒー、除虫菊などの園芸作物や、大豆、麦、じゃがいも、豆類、畜産等の生産が行われている。国土の32%を占める半乾燥地帯では、家畜飼育と作物栽培を組み合わせた混合農業や灌漑花卉栽培などが盛ん。

ケニアは比較的安定した政治体制に支えられた民主国家であり、1963年の独立翌年から共和制・大統領制を敷いている。東アフリカ最大のモンバサ港を擁し、東アフリカ諸国の玄関口として地域経済の中心的役割を担っている。サブ・サハラアフリカの非資源国の中でも、多様性に富んだ経済構造を有す。堅調な経済成長を実現しており、2021年の一人当たりGDPは2,006USDに達している。2020年の世界銀行ビジネス環境ランキングでは、190か国中56位となった(アフリカではモーリシャス、ルワンダ、モロッコに次ぐ第4位)。

また、ケニアはサブ・サハラアフリカにおいて、我が国ODAの最大供与国でもあり、農業、水道・衛生、健康や医療ケア、教育、環境保全など幅広い分野の支援を受けている。

(関連JICA事業)

(参考文献:ケニア共和国JICA国別分析ペーパー(注1)、外務省ウェブページ「ケニア共和国基礎データ」(注2)、ケニア 環境社会配慮プロファイル(JICA報告書2011年9月))

農業の特徴

ケニアの農業生態学ゾーン

農業開発/農村開発

(出典:ケニア 環境社会配慮プロファイル(JICA報告書2011年9月))

農業はGDPの27%、雇用の60%、輸出額の65%を占める基幹産業。農用地は2,763万ha、耕地は580万haであり、主な農産物は2018年時点で、茶(49万トン)、サトウキビ(526万トン)、コーヒー豆(4万トン)、トウモロコシ(401万トン)。茶は輸出量世界第1位、生産量世界第4位を誇っている。他には、切り花や園芸作物の生産も盛ん。

コメは食糧栄養安全保障戦略において優先作物とされており、2018年時点で約17万トンが生産されている。栽培面積は約3.5万haで、このうち約7割が灌漑地だ。国内最大の生産地はムエア灌漑地区で、1980年から現在に至るまで我が国の支援(技術協力事業、無償資金協力事業、有償資金協力事業)が実施されている。灌漑地における平均収量は4.2t/ha。

農業機械の利用状況

(1)概要

農業機械の利用状況は作物・農地面積等によってさまざまだが、大規模農業もしくは輸出産品を生産している集約農業を行っている農家は、比較的機械化が進んでいる。一方で、約65%を占める小規模農家の機械化はあまり進展しておらず、ケニア農業畜産水産協同組合省は2021年に農業機械化戦略(注3)を作成して、機械化振興を図っている。

(2)コメ

トラクターによる耕起、コンバインによる収穫、精米機による精米は概ね機械化されている。一方で、代掻き、播種/田植え、除草、施肥・除草剤散布の多くは機械化されていない。

トラクター及びコンバインは、一般的に農家組織あるいはサービスプロバイダーと呼ばれる農機を利用した請負作業を実施する組織に保有されている。農家組織及びサービスプロバイダーは、サービスを提供する対価として賃金を得ている。ムエア地区における平均的な請負作業の価格は、耕起3,500ケニアシリング/エーカー、収穫7,250ケニアシリング/エーカー。