教育だより第32号(2021年6月発行)より

「今できること」を大切に-パンデミック禍で変化したオンラインを取り入れたスポーツ指導-

きっかけは選手の一言

2019年9月、インドネシア マカッサルに赴任し、アーティスティックスイミング隊員として活動を開始しました。4年に1度のインドネシア最大のスポーツイベント「PON」本大会に向け準備していた矢先、COVID-19の影響により日本へ帰国することになりました。帰国後、海外で活躍しているコーチから「Zoomを使って、数か国合同オンラインセッションをやろう」と誘いを受け、日本人の元オリンピアン等をゲストに招き、経験談を語っていただきながら、一緒にオンライントレーニングを行いました。

インドネシアの選手達は、他国の選手の状況や、憧れの選手の話を聞いて、「コロナ禍でもできる事がある」「上手になるための準備期間をもらった」との前向きな考え方に変わった様子でした。

オンラインセッションはバラエティー豊富に

「コロナ渦の今だからこそできること」をキーワードに、毎回専門家の方をゲスト講師として招いたスペシャルセッション(1)栄養学等のアスリートとして必要な知識セッション、2)メイクアップ等の表現力向上のためのセッション、3)音楽編集等の選手からのリクエストセッション)を開催しました。

オンラインセッション参加者のコメント

インドネシアチームのコーチからは、オンラインセッションを行うことにより、「コーチ・選手ともに想いをしっかりと言葉で表現するようになり、コミュニケーションが良くなった。」「選手が説明やお手本を注意深く見聞きするようになった。」等の利点が挙がりました。一方、苦労した点として「画面上の口頭での説明だけでは選手に伝えきれない表現等があり、指導することが難しい時がある」という意見があがりました。

選手からは、「いつでも、どこでも地方や他国の選手と一緒に練習ができる」、選手の親からは、練習が始まる前に自分でタイムマネジメントをして準備体操を始める等「自立心が芽生えた」とのポジティブなコメントがありました。

最後に

本来ならば、彼女達の近くで色々な想いを一緒に共有し、成長する姿を見たかったですが、オンラインというツールを使うことにより、離れた日本からでも彼女達のためにできることがあるということを学びました。今は彼女たちが晴れの舞台で胸を張って堂々と演技してくれることを楽しみにしています。やればできる!Ewako!

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2019年12月PON予選後

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トレーニングセッションの様子