所長あいさつ

皆さん、こんにちは。
ハイチ支所長の野田です。

ハイチ共和国はカリブ海に浮かぶイスパニョーラ島の西側を領土とする国で、その国土面積は27,750平方キロメートルと、北海道の3分の1程の小さな国です。また人口は約1,145万人(2021年、WB)で、カリブ海地域では最も人口の多い国となっています。公用語が2つあり、現地語であるハイチクレオール語に加え、この地域の独立国では唯一フランス語が公用語として使用されています。また国民の95%がアフリカにルーツを持つという、ラテンとアフリカの文化が融合した非常にユニークな国でもあります。温暖な気候、青いカリブ海、逞しくも優しい人々など、ハイチが誇れるものはたくさんあります。

しかしながら、現在ハイチが置かれている状況は非常に厳しいものがあります。ハイチは1804年にフランスから独立を果たしました。これは日本の明治維新よりもずっと前の話です。しかし、独立後も長く政治的混乱が続き、長く続いた独裁政治や頻発するクーデターのため、未だに経済や社会が安定していません。

2021年7月7日には、ジョブネル・モイーズ大統領が自宅で武装集団に襲撃されて暗殺されるという事件が発生しました。そしてその直後の2021年8月14日には、ハイチ南西部を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生。この地震により死者2,200名、負傷者12,700名、全壊した家屋53,000棟という大きな被害が発生し、未だ復興作業が終わっていません。このように、長く続く政情不安に自然災害が加わった結果、現在のハイチの一人当たりGNIは1,430ドル(2021年、WB Atlas method)に留まっており、西半球で最も貧しい国となっています。また人間開発指数(HDI)も0.535と、191か国中163位と低位に留まっています(2021年、UNDP)。

昨年2022年も、ハイチ国内ではギャング集団による石油ターミナルの封鎖事件等、様々な事件が発生し、国民の生活環境は極度に悪化しました。JICAは、これまでハイチの人々に寄り添い、少しでも生活環境が改善されるよう、国際社会とも協調して、食糧生産、飲料水供給、道路交通、基礎教育等の分野で協力を続けてきましたが、治安の悪化が継続していることから、2022年8月以降、ハイチ支所は隣国であるドミニカ共和国に一時退避して業務を続けており、その業務内容も限定せざるを得ない状況にあります。

本年2023年も、ハイチでは引き続き厳しい状況が続いておりますが、一方では国際社会も巻き込んで、この状況を改善しようという動きもあり、治安状況が改善したらすぐに業務を再開・拡大できるよう、我々も必要な準備を進めてまいります。

JICAは今後もハイチの人々のイニシアティブを尊重しつつ、日本の発展の経験も活用して、人材育成を中心とした地道な支援を継続していきます。

2023年1月
ハイチ支所長
野田 久尚