2020年6月30日
ベトナム日本人材開発インスティチュート(以下VJCC)は2017年9月に「日本式国際ビジネス学士課程(Japanese-style International Business Course; JIB)」を開講し、一学年約80名の学生を育成しています。JIBは今年で3年目を迎え、JICAならびに日本のパートナー大学(関東学院大学、立教大学、東洋大学等)の協力により、質の高いカリキュラムが年々評判を呼び、ベトナム全国から多くの高校生が志願し、最難関とされる試験を勝ち抜き選抜されています。
授業はすべて英語により教育され、日系企業の協力によるProject-based Learningという実践教育も取り入れられています。また日本語N3資格の取得が卒業条件となっています。2021年秋に最初の卒業生が輩出され、日本をはじめ国際的に活躍する人材の育成に取り組んでいます。
選抜された学生の中には、地方から親元を離れハノイに出て新たに一人生活をする学生や経済的に恵まれない境遇の学生もいて、それら学生の負担を軽減させるため、教育訓練省と外国貿易大学の方針で授業料の免除や奨学金を授与する制度があります。
例年年明けに開催される奨学金授与式が、今回、コロナ禍の影響で、JIB学生も自宅待機となり延期されていましたが、5月11日から対面授業が再開されたことに伴い、6月12日に開催されました。
奨学金は、次の3つの種類が準備され27名の学生に授与されました。
(1) 最優秀な成績を修めた学生への奨学金(3名)
(2) 優秀な成績を修めた学生への奨学金(15名)
(3) 経済的に恵まれない境遇の学生への奨学金(9名)
この内、(2)と(3)は、経営塾クラブとVJCCが話し合い設置されたものです。経営塾クラブとは、VJCCがJICAの協力の下、実施している経営塾(※)を修了した経営者が構成する同窓会で、同クラブの理念は「会社は社会の公器たれ」です。同理念に基づき、クラブ会員であるベトナム中小企業が、コロナ禍で売り上げが大幅に減少するにもかかわらず「人」への投資は最重要とし、奨学金を提供してくれています。
今回の式典で経営塾クラブを代表して挨拶にたった経営塾7期生のHuong Mai社のマイ社長は、「これから真っ白な状態で船出をする学生たちの皆さんの輝かしい未来にエールを送ります。学生生活や卒業後の進路ではさまざまな困難に直面すると思いますが、JIBでは国際的にも質の高い学習が可能です。しっかり学び、タフなマインドを身に付けて欲しい。こうしたコースで学べる幸運をしっかり認識してほしい。」と語りました。
奨学金を受けた学生を代表して3年生のゴックさんは、経営塾企業とVJCCへの感謝の意を示し、期待に応えるよう努力を続けることを約束しました。同式典に続き「経営塾クラブとJIB学生の交流座談会」が開催され、これからの社会に求められる人材像やコロナ禍の中で変化するビジネス環境などについて、活発な意見交換が行われました。学生たちにとっては、実経営者として実務の指揮を執る経営者から実践的なアドバイスを聞く良い機会となりました。
(※)経営塾とは、企業経営者・幹部を対象とした日本式経営の研修。ベトナム産業界を牽引する経営者の育成を目的としており、月5日間の授業及び実践を約10ヶ月にわたり行います。VJCCの看板事業でもある本プログラムは2009年に開始され、2019年に10年目を迎え500名を超える日越関係者の参加の下ハノイで盛大に記念事業が行われました。