調査研究 『日本の保健医療の経験 途上国の保健医療改善を考える』 人間開発の基盤である基礎教育と保健指標の改善は国際協力の重要課題です。国連ミレニアム開発目標(MDGs)でも乳幼児・妊産婦死亡率の低減、HIV/AIDSなどの疾病蔓延の阻止などが掲げられています。そして途上国支援に日本の経験や教訓を活用する意義はこれまでも認められていましたが、実際の援助の現場においては関係者各人や個々の組織の知見と経験に頼ることが多く、日本の経験を包括的かつ体系的に分析したものはありませんでした。 この調査研究は、近代日本の保健医療分野が辿った歴史と多様な開発経験を総括し、かつ途上国への応用の可能性から吟味してそこからの示唆を考察したものです。国際協力の現場で活用するべく、報告書に加えて視聴覚教材も制作しました。報告書と視聴覚教材・指導用資料の内容は相互に対応しており、技術協力現場での活用に際しては両者を補完的に活用することが可能です。 <調査研究報告書> 保健医療は人の生命に関わる重要な分野です。日本もかつては高い乳児死亡率や妊産婦死亡率、感染症の蔓延に苦しみましたが、十分な財源がない時代から官民が様々な工夫をこらして着実に進めた対策によって、現在では世界屈指の長寿国となっています。この報告書では、日本の保健医療の経験を途上国へどのように応用することが可能か、保健医療での様々な領域での経験や教訓を、途上国開発の視点から整理し、考察したものです。
<視聴覚教材> 国際協力の現場で活動する専門家や青年海外協力隊員などが、途上国の実務者を対象に日本の保健医療の経験をわかりやすく伝え、協力の現場でともに考えるための材料を提供するものです。セミナーやシンポジウム、講義、自主研修、途上国政府への情報提供などの機会を想定しています日本の保健医療の歴史的背景を解説する「変遷」編と、第二次世界大戦後の劣悪な環境のもとで住民、保健婦、地域ぐるみで一丸となって展開された保健活動の実例を紹介した「地域保健活動」編の2編があります。映像教材に加えて、同映像の写真・図表とポイント解説が入ったシナリオのPDFファイルもあり、用途・目的に応じて報告書本編と対比させながら使い分けることができます。
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