本稿では、インドネシアの7州からの家計データを用い、雨季の変化を農家がどのように認識し、行動を変え、ひいては米の生産性にどのような影響を与えるかを分析する。調査地の農家は、近年の雨季の開始時期の遅れや、降雨パターンの変化(不確実性の増加)を認識している。分析結果からは、①雨季の開始時期の遅れにより、米の(土地)生産性の成長率が下がること、②灌漑面積の割合が高い場合は農地の生産性が高いこと、③農家は雨季の開始時期の遅れに応じる形で作付け時期を遅らせていることが明らかになった。これらの結果から、雨季の開始時期の遅れは、灌漑インフラの効果を減少させる可能性があることが示唆される。