本稿では、1995年から2007年の期間の家計パネルデータを用い、インドネシア農村部における家計のメンバー構成の変化と家計所得水準の変遷について分析する。家計メンバー構成の変化としては、分家(split household)及び出稼ぎ(migration)に注目する。家計レベルの出稼ぎ選択は、家計の長と次世代との教育水準の差(education growth)、若くかつ労働年齢にある家計メンバーの数に影響される。個人レベルでは若くかつ教育水準の高いメンバーが出稼ぎ選択をしている。また、メンバーが出稼ぎをしている家計では、純送金受取額が増加している。すなわち、インドネシアの農村家計の所得水準決定には、教育投資及び内生的な出稼ぎ選択が大きく関与していることが示唆される。