本論文は、バングラデシュに於ける構造変化と農村家計の厚生への影響について論じている。バングラデシュでは、道路、電気そして金融機関に対する公共投資が構造変化を促し、その結果農村に於ける所得の向上と多様化、消費の増大、貧困削減と教育の向上がもたらされた。データ分析によれば、村落部でのMFI (マイクロファイナンス機関)が1支店増えることは、家計所得を10パーセント増大させ、消費支出を4.7パーセント増大させていることが分かった。また、送配電網への接続や道路への投資も所得や消費を増加させ、貧困削減に寄与していることが明らかとなった。更に、インフラへの投資の結果として、農業所得より非農業所得の方がより多く増大していた。こうした最近の進歩は、バングラデシュにおいて今まさに構造変化が進行中であることを示唆している。