JICA緒方研究所

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ワーキング・ペーパー

No.202 Bridging the Gaps in Infrastructure Investment for Flood Protection in Asia

治水への投資は、仙台防災枠組が優先行動として強調しているように、洪水被害を軽減するために不可欠である。政策立案者が防災への投資を検討するにあたり、どれほど資金需要のギャップがあるのかの推定を必要とするが、現在、そのような推定値はほとんど利用できない。

このペーパーはアジア地域における治水インフラ投資の財政ギャップを推定し、そのギャップを埋める政策とアプローチを提案することを目的としている。 2015年にはアジア地域の9つの主要な洪水頻発国と地域において336億米ドル、GDPの0.21%、を治水に投資したことが明らかになった。重回帰分析により、発展途上国における2016年から2030年までの治水インフラの年間需要は945億米ドル、気候変動の影響を加味すると984億米ドル、と推計される。将来需要と現在の投資レベルとの資金ギャップは約610億米ドル、気候変動の影響を入れると650億米ドルとなる。これはアジアの発展途上国のGDPの約0.24%にあたる。こうした国々は水害を危機から治水投資を拡大させる機会に変える必要がある。

中華人民共和国、フィリピン、および日本の過去の経験を検討することにより、国家開発計画に治水を組み込み、セクター別の長期計画を策定することが投資を確保するのに効果的であることが明らかになった。気候変動適応における資金は増加しており、また、民間部門の資金を動員することで、さらなる財源を確保できる。また、コストを削減し、持続可能性を達成するには、革新的なアプローチも求められている。


キーワード: 災害リスク軽減、重回帰分析、仙台防災枠組、国家開発計画

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