JICA緒方研究所

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ワーキング・ペーパー

No.81 Risk, Infrastructure, and Rural Market Integration: Implications of Infrastructure Provision for Food Markets and Household Consumption in Rural Indonesia

本論文は2007/08年に起こった国際食糧価格の高騰とそれに続くインドネシア国内の食糧価格の上昇という危機に対し、二種類のインフラストラクチャー(灌漑施設と地方舗装道路)がどのような役割を果したのかを検証している。一般に、灌漑施設は農業生産性の向上に寄与し、地方舗装道路は輸送コストを低減させることで村の農作物市場の周辺市場との統合度合いに影響を与えると考えられている。本論文は、食糧価格危機に対し、インフラストラクチャーが家計の消費水準の決定にどのように働いたかを、主食である米の局所的な需給メカニズムに注目し、分析を行っている。分析結果は、地方舗装道路の未整備により周辺市場との統合度合いの低い地域で、灌漑施設を有する村では米の供給が十分に保たれ、米価が比較的安価に抑えられたことを示している。これにより、食糧価格危機の購買者に対する負の影響は緩和された。なお、周辺市場との統合度合いの高い地域では、このような役割を確認することはできない。

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