JICA九州では九州という地域が持つ強みを最大限活かした研修を実施しています。以下、九州の強みともいえる環境管理分野、保健医療分野、地域開発分野、産業開発分野の研修を紹介します。
環境問題は、1国のみでは解決できないグローバルな課題であり、また、多くの開発途上国では、産業開発を優先するあまり様々な環境問題を抱えています。
福岡県北九州市や熊本県水俣市は高度経済成長期における産業公害の経験から、環境保全に力を注いできた実績があります。また、両市は2008年に「環境モデル都市」に認定され、現在では環境管理分野において日本をリードする地域といえます。
こうした公害克服の経験やノウハウを持つ地域のリソースを活用し、JICA九州ではゴミ処理技術、排水対策や環境教育等、様々な面から環境保全をテーマとした研修を実施しています。
健康は基本的人権の一つであるにも拘らず、開発途上国では保健医療サービスの欠如により、多くの人々が生命の危機に直面しています。
九州では、地理的特性を活かした熱帯医学の研究や離島医療の研究をはじめ、世界に役立つ公衆衛生分野の研究が盛んに行われています。また、九州には、開発途上国の保健医療の改善に役立つノウハウを持つ多くの医療機関、大学等が存在します。
こうした貴重な地域リソースを活用し、感染症対策、母子保健、公衆衛生改善、島嶼医療、病院経営管理等、幅広い領域の保健医療分野の研修を行っています。
現在、サブサハラ・アフリカでは未だに50.9%の人々が貧困にあえいでいます。特に開発途上国では地域間格差が著しく、地方の貧困削減が重要課題となっています。
JICA九州では、地域開発の成功事例である大分県の「一村一品運動」に着目し地元の関係機関と連携しつつ研修を実施しています。既にアジアの各地域で「一村一品運動」が実践されており、現在、アフリカ、中南米でも急速に普及しつつあります。また、最近では大分発祥の「オンパク」を活用した研修も行っており、JICA九州では大分での地域振興の経験を海外へ伝えています。
多くの開発途上国では、産業の基盤を整え、雇用機会を増やし経済的に自立できる社会作りを目指しています。
北九州地域は四大工業地帯の1つとして日本の近代化を支えた地域です。現在でも市内の総生産のうち製造業が20%を占め、「ものづくり」の街となっています。こうした北九州に蓄積された産業技術に関する経験・ノウハウを活用し生産性向上、省エネルギー、中小企業支援、クリーナープロダクション等の研修を実施しています。