第2回ケーススタディの開催(2023年1月~3月)

2023年3月31日

フィリピン公共事業道路省(DPWH)は、JICAプロジェクトチームと共同で、フィリピン・ビサヤ地方ネグロス島において、2023年1月から3月までの2か月間にわたり、ケーススタディを実施しました。ケーススタディは海岸メカニズムの理解を目的に全18回が予定されており、第2回目の今回は海岸侵食のメカニズム及び海岸侵食に伴う越波現象の理解をテーマとしました。ケーススタディはデータ収集、現地調査、データ分析の3ステップで実施しました。

第2回ケーススタディは、テーマに沿い、ヒニガラン・タグダ漁港、アギサン漁港、ビナルバガン海岸の3つの海岸を対象とし、担当チームを、DPWHの治水砂防技術センター(FCSEC)、洪水管理事務所(FCMC)、設計局(BOD)、設備局(BOE)、第6地域事務所(Regional Office 6)、ネグロス島第2現地事務所(Negros Occidental 2nd DEO)で構成しました。

担当チームは、現地調査に先立ち、波浪、潮位、気象などのデータを収集し、波浪特性、潮位の重要性、台風が現地に与える影響の可能性などを確認しました。その後、3日間の現地調査では、GPS計測機器、ドローン、水上ドローンを活用して標高、地形、水深を計測し、陸地と海底の特性を確認しました。また、現場の波の挙動を詳細に観察し、浅海域での波の変化の仕方、波が土砂輸送に与える影響、海岸構造物による沿岸土砂輸送の遮断なども調査しました。現場での現象とプロジェクトによる全6回の海岸工学に関する講義内容を結びつけ、波の影響によって海岸が直面しうるリスクについて理解を深めました。

現地調査終了後担当チームは、コアスタッフ全員を対象としたとりまとめの会議を開催し、事前収集のデータと現地調査結果を整理し、ネグロス島現場で発生している海岸メカニズムを発表・共有しました。その内容を受けて、JICAプロジェクトチームが対象地域の波浪特性と沿岸漂砂の関係、打上げ高が高い箇所の特性等についてフィードバックをしました。

本ケーススタディを通じて、フィリピンの沿岸メカニズムについて理解を深めることができ、収集された知見やデータは、今後のプロジェクトのガイドラインとして、持続可能な海岸管理を促進するために活用される予定です。

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ネグロス島でのDPWHとJICAプロジェクトチームの会議

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ネグロス島での議論

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事前調査を行うDPWH

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現地視察(ヒニガラン・タグダ漁港)

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GPS計測器の設置状況(アギサン漁港)

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現地視察(ヒニガラン・タグダ漁港)

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ケーススタディレポートについて話し合うDPWH担当チーム

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DPWH Negros Occidental 1st DEOの前で集合