教科からのSDGsとESD(1)
上田先生「国語×SDGs」
実践例の紹介
- 「半径5メール以内の義憤」:SDGsは抽象度が高いため、自分の身近なところからSDGsへとつなげていくことで、世界を「自分事化」することを目指す。身近な気になったことを写真に撮ったり、通学の道のりの中に存在する社会問題を見つけてSDGsとのつながりを意識し、プレゼンをしたりする。
- 「SDGs×ビブリオバトル」:生徒にSDGsの目標をランダムに割り当てる。生徒は割り当てられた目標に関連する新書を読んでプレゼンをする。
研修を通しての変化
研修を通して、自分はドメスティックなことがしたいという意識を強く持った。研修の他の参加者との対話を通して、自分に出来ることを増やしたいと思うようになった。
HASSYADAI SOCIALでの活動
若者が立ち直り社会に出ていくためのサポートをおこなう「ヤンキー・インターンシップ」で国語の授業をし、現在では活動を運営する「HASSYADAI SOCIAL」の理事に就任。
今後の展望とまとめ
- 今後はジェンダー平等の実現にもかかわっていきたい。
- 「この子たちには無理」「私たちには無理」を無くせば世界を変えることができると信じている。
- 母語の豊かさ、国語力の豊かさは文化の豊かさにもつながる。
大野先生「カリキュラム・デザイン」
実践例の紹介
- 貧困と格差の解決策(世界史B):アフリカの植民地化と独立後の課題についての授業。学習のプロセスを書き込む「一枚ポートフォリオ」を活用。教師海外研修でのALの手法を実際に使うことができた。
- 1年間のカリキュラム(現代社会):SDGsの17目標を各単元として構成することで、国際理解教育を特別なものにしないように意識。
- 「現在」との架け橋(世界史B):歴史的な事象と現在をSDGsでつなげることで歴史を暗記事項(他人事)だけではなく「自分事」としてとらえることができるように。
- 諸課題を捉える視点(地理B):SDGsの視点から世界や地域の諸課題を捉え、それらの解決策を主体的に考えることができるような力を伸ばすように意識した授業。
研修前後の変化
- 研修前はアフリカでの「経験」にばかり目がいっており、アフリカに行くこと、海外を見ることが目的だった。しかし、研修後には、「経験」だけでなく、国際理解教育/開発教育を継続的に実践していく「方法」や「考え方」が身についた。
- 地歴公民のどの授業を担当しても、SDGsの視点を取り入れることで世界と生徒をつなげることができるようになった。
今後の展望
- 生徒の意識や行動を変容させるには、学校全体で取り組む必要があるため、「カリキュラム・デザイン」から「カリキュラム・マネジメント」への転換が必要。
- 「総合的な探究の時間」や2020年春以降の「高校の普通科改革」に可能性を感じている。
所感
先生方のお話から、教育が果たすことのできる役割・養育のもつ可能性を改めて感じるとともに、開発教育支援事業の意義の大きさを実感した。上田先生や大野先生が実践されているような教育をこれからの社会を担っていく子どもたちに届けることができれば、いつかは世界を変えることが出来るのではないか、と感じた。そしてその際に、世界の課題を「自分事化」するツールとしてSDGsを活用することが効果的であると感じた。ただ、先生方や、ブレークアウトの参加者のみなさんも言っていたが、SDGsや国際理解教育の要素を授業へ落とし込むかことは非常に難しいことであるとも感じた。だからこそ、教師海外研修やリレートークなどで、そのヒントを得たり、先生同士で語り合ったりする機会を持つことは非常に重要であると改めて感じた。