2021年11月11日
第11回:山下 里愛さん
(村落開発普及員(現:コミュニティ開発)、2002(平成14)年度1次隊、任地:マサカ県マサカ市)
インタビュー後半!現在のウガンダとの関りや、協力隊員を目指す方へメッセージをお聞きしました。
(JICA)隊員時代は、週末も現地の方と一緒に過ごされてたんですね。任地にいること、そのものが協力隊活動の一部、国際理解、異文化理解活動ですね。活動で日本との違いを感じたことはありましたか?
(山下さん)所属先の市役所で計画作りのワークショップを開いた際、出来るだけ多くの人が参加できるように、参加者への日当を半額にすることを提案しました。当時は日当がないとワークショップに参加しない人が多い状況だったので、「その金額では参加者は不満で来ないよ」と上司に反対されました。ただ、実際にやってみたところ、参加者から「日当なしでもいいから、もっとたくさんの人にやって欲しい」と言われ、マサカ市内の3つの区でも追加で実施できることになりました。参加型で一人一人の声を拾う形のワークショップは初めてだったようで、参加者も日当以上に参加経験を評価してくれたんだと思います。文化・習慣の違う中で、これは大きな成果でした。
(JICA)2年間の活動を終えて、帰国する際はどのような思いがありましたか?協力隊の経験は、その後の人生をどのように変えましたか?
(山下さん)2年間があっという間で帰りたくないと思っていました。参加したことで、国際協力を一生の仕事にしようという覚悟ができ、開発コンサルタントを目指すことにしました。そして、私を育ててくれたウガンダに恩返しができるように、知識とスキルを身につけよう思いました。この経験が今の仕事の原点となっています。現在は開発コンサルタント会社の株式会社JINに務め、農村開発、社会開発、ジェンダー、社会的弱者配慮などの分野を専門にJICAプロジェクトに従事しています。ウガンダだけでなく、紛争影響国の南スーダンやソマリアのプロジェクトにも関わっています。
(JICA)現在は業務でウガンダと繋がっていらっしゃるんですね!隊員時代とは違う視点でウガンダと関わられているんですね。
(山下さん)これまで5つの事業に短期・長期で関わってきましたが、現在は「北部ウガンダ生計向上支援プロジェクトフェーズ2」を実施中です。特に、協力隊時代に内戦中だったグルに滞在しながら、アチョリ地域の農家の生活向上に関わる仕事ができることに、何とも言えない喜びとやりがいを感じています。また、JICA事業とは別に、所属している会社の社会貢献として、ラムサール条約に指定され、ハシビロコウで有名なマバンバ湿地の保全活動を支援しています。2019年には、地元のエコツーリズム協会のメンバー向けに参加型のワークショップを実施し、5年間の湿地管理計画を作成しました。
さらに、2017年から毎年夏休みに、同志社大学の学生さんのウガンダスタディツアーを企画し、現地のコーディネーター役を務めています。2020年以降はコロナ禍のため、オンラインで現地と繋ぐ形でのスタディツアーを2回実施しました。私はもともと国際理解教育に関心があったので、このような形で日本とウガンダを繋げることができて、嬉しく思います。
(JICA)本来業務に、会社のCSR、さらに現地コーディネーター、隊員時代も幅広く活動されていましたが、今も様々な業務に携わっているんですね。その点もなんだか隊員活動が原点になのかもしれませんね。現隊員やこれから協力隊を目指す人に向けたメッセージをお願いします。
(山下さん)協力隊時代ほど、自由に現場を歩き回って、見たいものを見て、会いたい人に会って、やりたいことにチャレンジできる貴重な時間はないと思います。どうか自分を解放して、頭で考えるのではなく、五感を使って現場を感じとり、現地の人とたくさん話して一緒に働くことを目指して欲しいと思います。
ウガンダが今の仕事の原点という山下さん。協力隊員時代から約20年たった今も深くウガンダと関わられており、本インタビューの際もウガンダ出張中でいらっしゃいました。隊員として成長させてもらったウガンダへ今度は開発コンサルタントという立場で恩返し、ウガンダとの素敵な関係は今後も楽しみですね。山下さん、インタビューへのご協力ありがとうございました。