人的ネットワークと信頼関係を生かし、パートナーシップのさらなる深化を-中国訪問を終えて緒方理事長語る-

2009年12月8日

経済的に大きく発展し、世界においてそのプレゼンスを急速に高めている中国で、今後いかに協力を展開していくべきか、そして深化する日中間のパートナーシップにおけるJICAの役割は—。

緒方貞子JICA理事長は、11月29日からの1週間にわたる中華人民共和国訪問を終え、12月5日に帰国しました。中国では北京のほか、遼寧省や吉林省といった東北地方で、中国政府要人、援助関係者との協議や講演、JICAの事業実施現場の視察を精力的に行いました。

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瀋陽の中国医科大学付属病院で関係者から機材について説明を受ける緒方理事長

緒方理事長は帰国後、事業現場の視察では、技術協力、有償資金協力、無償資金協力の3スキームが効果的に活用され、ハード面が整備されただけでなく、日本との人的ネットワークを持つ人材が、それぞれの現場の中核として活躍していることが確認でき、感銘を受けたと報告しました。中でも、瀋陽で視察した中国医科大学では、種々の日本の支援を生かして眼科巡回検診車が貧困層を回っていたことを例として取り上げ、「中国側はさまざまな分野で日本の知識・技術をよく生かしている」と高く評価しました。

また、帰国前日の12月4日に清華大学で行った講演について、講演後の質疑応答の際に、聴衆から日本の対中経済協力への謝意とともに、今後の日中協力の方向性を問う質問があったことを紹介し、過去の協力を尊重し日中関係の将来を見据えようとする中国の青年の姿勢が印象的だったと語りました。

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中南海紫光閣で会談する李副首相(右)と緒方理事長

JICAの中国に対する支援は今年で30年を迎えますが、中国側はこの間の協力が同国の改革開放政策と社会経済の発展に寄与してきたことを高く評価しています。12月3日に会談した李克強副首相からは、緒方理事長に対し、研修員受け入れなどを通じた中国の人材育成への貢献は大きいとして謝意が述べられました。JICAはこれまでの協力によって築かれた人的ネットワークも含め、30年間に培われた日中の信頼関係を維持・発展させ、今後の中国への支援において活用していきたいと考えています。

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北京市にある、円借款で導入された天然ガス焚き熱電併給施設の視察。大気汚染の改善、省エネに貢献しているとして、環境教育の視察先にもなっている

緒方理事長は今回の訪問を終えて、今後の中国への協力は、気候変動、省エネ、環境保全などの環境分野、経済法制度整備などの制度整備分野、ボランティア派遣、草の根技術協力、青年研修などによる人的交流をベースにした相互理解促進が中心になるだろうと述べ、こうした事業を通じた日中関係の深化に期待を寄せました。

また、日中間でアジアやアフリカなどの対外支援に関する情報交換を行い、連携を深めていきたいという希望が中国側にもあることを認識したと述べ、今後、中国と日本は新しい協力のステージに入ることになるだろうとの見解を示しました。