緒方理事長がグアテマラのコロン大統領と会談-日本の知見を生かし、災害対策への取り組みを支援-

2010年11月1日

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ファイヤード首相(右)と緒方理事長

10月22日、緒方貞子JICA理事長は、初めて日本を公式訪問したグアテマラのアルバロ・コロン・カバジェロス大統領と都内で会談。JICAが実施中の案件や今後の支援などについて意見を交わした。

貧困地域への支援

中央アメリカ、メキシコの南東に国境を接する人口約1,400万の国、グアテマラ。4〜10世紀ごろにマヤ文明が栄え、現在も国民の約4割はマヤ系の先住民族である。先住民族を巻き込み、1960年から1996年まで長い間続いた内戦は、今もグアテマラに大きな傷跡を残している。内戦終了後、経済は成長したものの、貧富の格差は依然大きな問題であり、いまだ先住民族の多くが貧困層である。それに加え、地震、ハリケーンなどの自然災害が、さらなる経済発展への足かせとなってきた。

会談の冒頭で緒方理事長は、国連難民高等弁務官時代に訪問したメキシコのグアテマラ難民キャンプについて触れ「難民が『故郷は心の問題であり、誰もがそこに戻りたい』と語ったことが印象的だった」と、当時を振り返った。それに対し、コロン大統領は「難民の帰還に際し国連が果たした役割は大きく、その代表として取り組まれた方が今やJICA理事長となり、グアテマラ協力について意見交換できるようになったことに、大きな感銘を覚える」と述べた。

続けてコロン大統領は、JICAに対し、技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力、そして累計で500人を超えるボランティア派遣を含む、幅広い分野での支援に謝意を表した。特に、グアテマラ政府の政策と整合性を取りながら、目的達成に向け、共に取り組んでいくJICAの協力姿勢を高く評価した。

会談ではこのほかに、現在実施中の円借款事業「和平地域道路整備事業」と、今回の訪日中に日・グアテマラ両国政府で交換公文に署名した新規円借款事業「和平地域道路整備事業(II)」についても言及され、コロン大統領は「先住民族の多い貧困地域を通る、重要なプロジェクトである」と述べた。これら二つの事業は、かつて激しい内戦が繰り広げられ、現在でも貧困度が高い「和平地域」と呼ばれる地域において幹線道路を整備するもの。対象地域には、内戦時、国外に逃れた難民の帰還先も含まれている。JICAは、そのほかにも、中南米地域特有の感染症であるシャーガス病対策、乳幼児や妊産婦に対する保健サービスの向上、初等(算数)教育の質改善、給水施設の運用・維持管理改善、農業技術普及や、地場産業の振興など、貧困地域の社会開発に資する支援を実施している。

自然災害から国を守るために

コロン大統領は、グアテマラで近年、豪雨による被害が増加していることにも触れ、防災対策に継続して取り組むことの必要性を強調した。世界銀行の報告では、グアテマラは洪水、ハリケーン、地震に対し、世界で最も脆弱(ぜいじゃく)な5ヵ国の一つに位置付けられている。2010年5月の熱帯暴風雨「アガサ」およびパカヤ火山噴火による被害額は約10億ドルに上り、同国GDPの約2.6パーセントに相当する。10月にはグアテマラ政府が災害対策についての国際会議を同国内で開催し、国際社会に対し、災害対策支援を呼びかけた。

JICAはこの熱帯暴風雨被害に対し、緊急援助(物資供与)を実施したほか、防災分野の技術協力プロジェクトや、専門家の派遣を行っている。緒方理事長は、「災害の予防策でも、日本の防災分野における技術・知見を活用した協力が可能」と述べた。

JICAは、グアテマラの持続的な開発を可能にするため、引き続き貧困地域への支援を展開するとともに、日本の知見を生かした防災対策などを含む環境分野への協力を実施していく。

中南米部中米・カリブ課