経済、産業活性化のための「平和と繁栄の回廊」構想実現に向けて-パレスチナ自治政府のファイヤード首相が緒方理事長と会談-

2010年12月1日

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ファイヤード首相(右)と緒方理事長

11月25日、緒方貞子JICA理事長は、来日したパレスチナ自治政府のサラーム・ファイヤード首相と都内で会談し、中東和平の現状およびパレスチナ支援について意見を交わした。

経済的自立を軸とした国づくり支援

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ファイヤード首相

日本のパレスチナ支援の中心には、2006年7月に中東を訪問した小泉純一郎首相(当時)が提案した、「平和と繁栄の回廊」構想がある。この構想は、イスラエル・パレスチナ間の持続的な和平には「二国家構想」の実現が重要との前提に立ち、イスラエル、ヨルダン等近隣諸国との協力により、持続的な経済開発を伴う健全なパレスチナ国家を樹立しようというもの。持続的な経済開発のためには民間セクター、中でも農産業が主導的な役割を果たすと考えられることから、現在JICAは、パレスチナ自治政府との協力の下、ジェリコ地域で農産物加工団地建設のための支援を実施しているほか、自治政府の行政能力・社会サービスの強化、母子保健・リプロダクティブヘルスなどの分野でも支援を行っている。

会談冒頭、ファイヤード首相は、JICAの継続的な支援に対して謝意を表明した。これに対し緒方理事長は、「平和と繁栄の回廊」構想の中核事業であるジェリコ農産物加工団地の各種インフラ整備が進んでいることに加え、パレスチナ側の実施機関の能力強化を目的とした技術協力プロジェクトも進行しており、これらを通じて、今後もハード面・ソフト面双方で協力していく旨を伝えた。

続けてファイヤード首相は、将来のパレスチナ国家建設に向けた自治政府の制度づくり、組織能力強化を進めていきたいとの意向を述べ、ガザ地区での学校建設、自治政府への財政支援の必要性などについて説明。これらについては、今後もJICAと共に支援についての協議を行っていくこととなった。

東アジア諸国との連携による新たな支援

事実上中断しているイスラエルとの和平交渉についても会談に上った。ファイヤード首相は、交渉の再開には、イスラエルによる東エルサレム(注)を含む入植活動の全面凍結と、国際社会からの支援が必要であると説明した。これに対し緒方理事長は、入植地の現状への懸念と共に、交渉再開に向けた期待を示した。

日本は、パレスチナの国家建設に向けた協力として、前述の協力のほか、研修受け入れや専門家派遣等について、インドネシア、シンガポール、マレーシアといった東アジアの国々と共に取り組む構想を提案している。緒方理事長は、東アジア諸国は過去の経済発展の経験を有しており、これらの国々と連携してパレスチナの国づくりを支援していきたい旨を伝えた。これに対しファイヤード首相は、東アジア諸国からの支援はパレスチナ自治政府の制度づくり・能力強化に貢献するものであると、これらの国々とのパートナーシップ深化への期待を示した。

中東・欧州部

(注)11月8日、イスラエル政府は、帰属問題が未解決な東エルサレムで、ユダヤ人入植者住宅約1,300戸の新規建設を進める方針を発表した。