緒方理事長が米国出張で世界銀行のゼーリック総裁らと会談-中東の民主化やアフリカの角の干ばつについて協議-

2011年10月5日

国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に出席するため、9月下旬に米国のワシントンDCを訪れた緒方貞子JICA理事長は、同国滞在中、ロバート・ゼーリック世界銀行総裁、ラジブ・シャー米国国際開発庁(USAID)長官、ドナルド・カベルカ・アフリカ開発銀行(AfDB)総裁らと、相次いで会談し、中東の民主化運動とアフリカの角の干ばつに対する支援などについて意見を交換した。中東における民主化の動きは、格差という問題から生じており、一連の会談を通じ、JICAが掲げる「すべての人々が恩恵を受ける、ダイナミックな開発」の重要性が再認識された。

中東支援を拡大へ

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中東やアフリカの角に対する緊急支援だけでなく、アフリカ全体の開発の重要性についても確認し合った緒方理事長(左)とゼーリック総裁

ゼーリック総裁との会談で、緒方理事長は、JICAがエジプトに対し、地下鉄や水道などのインフラ整備のほか、農業振興など数多くの技術協力を実施していることを紹介した。民主化を支援するためには、教育支援が重要だというゼーリック総裁に対し、緒方理事長は「『エジプト日本科学技術大学(E-JUST)プロジェクト』(注1)や『ボルジュ・セドリア・テクノパーク運営管理プロジェクト』(注2)など、エジプトやチュニジアでの高等教育支援にも力を入れてきたが、その受け皿となる若者の雇用が不足している」と述べ、高等教育支援を雇用促進につなげることが今後の課題だとした。

ソマリアの緊急支援と中・長期的支援に向けて

話題は、過去60年で最悪の干ばつに苦しむソマリア支援にも及んだ。無政府状態のソマリアは、長期間にわたって国際社会からの支援を受けておらず、数年前から難民も発生している。緒方理事長は、「JICAがUNHCRと連携して、ソマリアとの国境に近いケニアのダダーブ難民キャンプで、生活改善のための支援を実施している」と述べた。

AfDBのカベルカ総裁との面談でも中東の民主化支援のほか、アフリカの角が話題となった。アフリカの角について、緒方理事長は「ダダーブキャンプを視察したが、水不足をはじめ、日々流入する避難民の数も多く、大変な状況だ。支援を進めているものの、追いついていないと聞いている。ソマリア問題に対する国際社会の理解促進が欠かせない」と問題提起した。

USAIDのシャー長官は、アフリカへの農業支援の重要性を訴えた。緒方理事長は「緊急的な食料供与から、それをフォローする支援、さらには、持続的な農業とその生産性向上に至る各段階において、人道支援機関と開発援助機関が協力することが必要。アフリカの角への支援は大変重要で、特にソマリアへの対応が急がれる」と述べ、USAIDとJICAの実務担当者による協議を始めることを提案した。

(注1)日本式の工学教育の特長を生かした「少人数」「大学院・研究中心」「実践的かつ国際水準の教育提供」をコンセプトとする国立大学「日・エジプト科学技術大学(E-JUST)」を新設するための支援。

(注2)産官学連携による質の高い研究を事業に直結させ、新たな知識集約型産業への転換を図り、産業競争力を高めるため、チュニジア国内の7ヵ所に産官学連携の拠点となるテクノパークの整備が進められており、日本はこれを支援している。