緒方理事長がタイを訪問し、インラック首相らと会談-被災した工業団地も視察-

2011年12月28日

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川のようになったナワナコン工業団地の道路(2011年11月下旬撮影)

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今後の洪水対策支援について意見を交換した緒方理事長(左)とインラック首相

緒方貞子JICA理事長は、12月26日から28日にかけてタイを訪問、インラック・シナワット首相やキティラット・ナ・ラノン副首相兼商務大臣と、大洪水からの復興支援について意見を交換したほか、被災したナワナコン工業団地を視察した。

26日夜、緒方理事長は、キティラット副首相兼商務大臣が主催する夕食会に出席。洪水被害に対するお見舞いを述べるとともに、今後の支援について、「日本とタイの英知を結集して復興に向けて取り組みたい」とした。また、夕食会には、スリン・ピッスワンASEAN事務局長が急きょ参加。JICAの洪水支援に関する強い関心が示されたほか、ASEANの緊急アセスメントチーム(Emergency Rapid Assessment Team : ERAT)への協力要請に対し、JICAの竹谷公男客員専門員が迅速に派遣されたことに感謝の意が示された。

27日には、被災した工業団地のうち、フジクラやトステム・タイなど、約100社の日系企業が入居しているナワナコン工業団地を視察。同団地には、学校や病院、ショッピングセンターもあり、27万人が居住、うち17万人が同工業団地に勤務している。今回の洪水で水位が海抜4.7メートルまで上がったことから、JICAの助言も踏まえて設計を変更した上で、2月下旬に改築工事に着手し、約4ヵ月半後には、現状4メートルの輪中堤を5.5メートルにする予定だと工業団地の運営会社などから説明を受けた。

また、入居している日系企業との意見交換も行った。各企業の関係者からは「設備はどの企業も全損したのではないか」「『洪水団地』というレッテルが張られてしまった。今後、タイへの投資が控えられることが心配」という切実な声が聞かれた。今後の復旧・復興について、「周辺住民とのよい関係を保ちながら進めることが重要」「タイ政府には、長期的計画を明確に示してほしい」としつつ、そのためのJICAの支援を求める意見が出され、緒方理事長は「日系企業の方々のことを考慮し、中長期的な洪水対策を検討したい」と応じた。

同日夕刻に行われたインラック首相との会談では、インラック首相が、タイ政府が国営銀行を通じて、民間企業に対し計3,000億バーツ(約7,500億円)の融資を提供することを決めたことと、保険の準備金を政府が提供することを紹介。「課題は把握しているので、JICAには技術的な支援を今後もお願いしたい」と述べた。

これに対し、緒方理事長は「JICAとしてタイ政府を支援する用意はある。具体的な方法を協議していきたい」と応じた。JICAは今後も、チャオプラヤ川流域マスタープランの見直しや潅漑施設の復旧事業などを通じ、タイの災害対策と洪水からの復興を支援していく。