緒方理事長がモザンビークのアリ首相と会談

2012年2月24日

緒方貞子JICA理事長は、2月20日、東京都内でモザンビークのアイレス・アリ首相と会談した。

ナカラ経済回廊を発展の起爆剤に

【画像】

多くの国民の参加を得ながら発展を実現したいと話すアリ首相

【画像】

開発援助を通じて相互の協力関係を構築し、発展させていかなければならないと強調する緒方理事長

冒頭、アリ首相は、緒方理事長が国連難民高等弁務官時代に内戦終結後のモザンビークを訪れ、支援に尽力したことに触れ「モザンビークの長年の友人である緒方理事長に日本でお目にかかることができ、光栄だ」と述べるとともに、JICAの教育、社会・経済インフラ分野に対する協力に感謝の意を示した。

また、日本がモザンビークの最重点地域として開発援助を行っている、同国北部に位置するナカラ経済回廊の開発については、「『プロサバンナ』(注)や道路、港湾・橋梁(きょうりょう)の整備など、日本の協力には重要な案件が多く、同地域における日本のプレゼンスは大きい。今後も協働で事業の実施に取り組んでいきたい」と述べた。さらに、日系企業の関心が高まっている天然ガスや石炭などの資源開発についても、JICAがモザンビーク政府と日本企業との「触媒」となって民間投資を促進し、地域開発に貢献していることを評価した。

これに対し、緒方理事長は「ナカラ経済回廊開発について、モザンビーク政府が高いプライオリティーを置き、強い意欲を持って事業を進めていることがよくわかった。今後も適切な開発事業を計画・実施していってほしい」と述べた。

農畜産業の発展と中小企業の活性化

モザンビークは、16年間に及ぶ内戦が終結した1992年から民主化に取り組んでおり、現在、内政は安定している。また、IMFと世界銀行の支援を通じて市場経済化を進め、1997年から2002年の経済成長率は9パーセントと、アフリカ全体の平均を大きく上回っている。さらに、国際的な金融危機にもかかわらず、2009年の経済成長率は6.3パーセントを達成、2010年は6.6パーセントとされており、政府は堅実なマクロ経済運営を行っていると評価されている。

今後の開発の方向性について、アリ首相は「経済は好調だが、発展の次のステージに向けてさらなる社会・経済の安定を図るため、国民の参加を得ながら国家力を高めていかなければならない」とした。そのための最優先事項として、国民の約8割が従事する農業の開発を挙げ、「農畜産業を軸に加工業を育成するとともに、中小企業の活性化を図り、将来的には輸出へとつなげたい」と抱負を述べた。また、これらを通じた雇用促進と、輸出の実現に向けた包装工場の設立など、関連産業の振興にも意欲を見せた。

これについて、緒方理事長は「包装技術は日本が有する技術の中でも特にすばらしいものだ。今後の協力につながることも考えられる」と応じた。

自然災害への対応能力向上を目指して

モザンビークでは、1月中旬から下旬にかけて発生したサイクロンによって、死者30人、被災者12万人にも及ぶ被害が出た。これに対してJICAは、モザンビーク政府の要請を受けてポリタンクや発電機などの緊急援助物資(1,900万円相当)を供与した。

アリ首相は「モザンビークには豊富な水資源があるもの、その管理能力は低い。豪雨は、人命はもちろん、生産活動にも影響を及ぼすので、洪水対策も視野に入れた水資源の管理技術を学びたい」と要望した。

緒方理事長は「日本は東日本大震災をはじめ、多くの水害を経験している。その苦しみの中から得た教訓と技術の蓄積をモザンビークと共有することは、大変重要だと認識している」と答えた。

順調に経済成長を達成しているモザンビークだが、国連開発計画(UNDP)の人間開発指数は187ヵ国中184位(2011年)で、国民の多くは発展の恩恵をいまだ受けていない。こうした状況を改善するため、JICAは、今後も、モザンビークの包括的な発展に向け、協力していく。

(注)日本・ブラジル・モザンビーク三角協力によるアフリカ熱帯サバンナ農業開発事業(ProSAVANA-JBM)