緒方理事長がモンゴルのバトボルド首相と会談

2012年3月14日

緒方貞子JICA理事長は、3月12日、東京都内でモンゴルのスフバータル・バトボルド首相と会談した。

モンゴル国民一人ひとりの感謝と国を挙げての支援

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「戦略的パートナーシップの構築を目指す日本との関係を非常に重視している」と話すバトボルド首相

冒頭、緒方理事長が「東日本大震災に際し、貴国からは非常に心温まる支援をいただき感謝している」と述べた。

東日本大震災に際し、モンゴル政府は、日本へ義援金を送ることを即座に閣議決定、また、すべての公務員に対し、1日分の給与を返上して日本に寄付するよう大統領声明で呼びかけた。さらに、モンゴルとして初めて海外に緊急援助隊を派遣し、毛布などの救援物資を供与するなど、国を挙げて日本を支援した。

また、バトボルド首相は今回、来日予定を1日早め、3月11日に東京で行われた政府主催の「東日本大震災1周年追悼式」に参列し、モンゴルを代表して犠牲者の冥福を祈った。会談で、バトボルド首相は「日本にとって、今は大変困難な時期だが、必ずやこれを乗り越え、復興を成し遂げると信じている」と期待を込めた。

緒方理事長は「東日本大震災を機に、日本人は、世界の人々に支えられていると強く認識するようになったと感じている」と述べた。これに対して、バトボルド首相は「モンゴルが民主主義、市場経済へと移行するに当たり、日本が多大な協力をしてくれたことに大変感謝している」と応じ、国としてだけでなく、国民一人ひとりが日本に感謝しており、それが今回の支援につながったとした。

インフラ整備に加え、人材育成強化の必要性

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JICAによる今後のモンゴル支援について言及する緒方理事長

モンゴルは、1990年に社会主義経済から市場主義経済に移行、それに伴い旧ソ連(現在のロシア)の支援が中断され、経済が停滞するなど大きな混乱に陥った。それに対し、JICAは、支援をいち早く表明し、インフラ整備などを行ってきた。

今後の協力について、緒方理事長は、インフラ整備に加えて、保健や教育といった分野も含めた人材育成の重要性に触れ、「JICAは、専門家や青年海外協力隊、シニア海外ボランティアも多数派遣し、人を通じた支援を行っている」とした。これに対し、バトボルド首相は「さまざまな分野で人材育成の強化が必要であることはご指摘の通りだ」と応じた。また、JICAボランティアについて、「外務大臣時代から数度、直接会って激励したことがある。モンゴルの都市住民ですら、適応するのは厳しいと思われる地方の町で暮らし、現地の人々と触れ合い、言葉を覚え、地域に溶け込みながら活動しており、高く評価している」と述べた。

資源国モンゴルの持続可能な成長と人々の生計向上を目指して

モンゴルは、2008年の金融危機の影響を受けて経済状況が急激に悪化したものの、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、アジア開発銀行、JICAなどによる財政支援に加え、資源開発の活発化に伴う資本流入の増加などにより、2010年のGDP成長率は6.4パーセントに回復し、今後も大きな経済成長が見込まれている。

これに対してJICAは、(1)鉱物資源の持続可能な開発とガバナンスの強化、(2)すべての人々が恩恵を受ける成長(Inclusive Growth)の実現、(3)ウランバートル市都市機能強化—の三つを援助の重点分野として掲げ、モンゴルに対する協力に取り組んでいる。今回の会談後には、貧困層向けの基礎的な社会サービスの改善などを目指す「社会セクター支援プログラム(II)」の実施のため、15億5,000万円を限度とする円借款契約を締結した。また、日本の技術が生きる事業を中心にウランバートル市の都市機能を支えるインフラの整備に取り組んでおり、今回の会談でも、円借款で進められている「新ウランバートル国際空港建設事業」の早期完成に向けて双方で協力して取り組んでいくことが確認された。

今年、外交関係樹立40周年を迎え、戦略的パートナーシップの構築に向け、関係強化を進める日本とモンゴル。JICAは今後もその一翼を担い、モンゴルの持続可能な成長と人々の生計の向上に向けて支援していく。