緒方理事長がラオスのトンシン首相と会談

2012年3月22日

緒方貞子JICA理事長は、3月16日、東京都内でラオスのトンシン・タンマヴォン首相と会談した。

7年ぶりのプロジェクト型円借款

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「日本からのビジネス誘致や投資促進、観光客誘致にも取り組みたい」と述べるトンシン首相

2010年12月の首相就任後、初来日したトンシン首相は、会談冒頭、これまでの日本とJICAの支援に感謝の意を表明。その上で、「ラオスは、2015年までにミレニアム開発目標(MDGs)(注1)を達成し、2020年までに後発開発途上国から脱却することを目指しているが、そのためには、依然として資金協力と技術協力が必要だ」と、さらなる支援を要請した。これに対し、緒方理事長は、7年ぶりとなったラオスに対するプロジェクト型円借款事業「南部地域電力系統整備事業」(注2)について「この事業を機に、今後も、さまざまな協力を行っていきたいと考えている」と応じた。

また、緒方理事長は、2015年のASEAN統合に向け進められている「JICA-ASEAN連携ラオスパイロットプロジェクト」(注3)について言及。地域内の格差是正のための域内協力の必要性に触れ、「ASEAN事務局とラオス、JICAの三者で、環境、観光、農業の3分野の開発を一層進めたい」と述べた。

開発と環境保護の両立

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緒方理事長は、開発を進める中で、伝統や環境を守ることも重要と言及

JICAは、2010年1月から2011年3月まで、「首都ビエンチャン都市開発マスタープラン策定プロジェクト」を実施。ラオス政府は2012年1月、プロジェクトで策定した都市開発マスタープランを議会で承認した。これについて、緒方理事長は「かつて、ビエンチャンを訪問した際、緑が多く、大変美しい街だと感じた。都市開発に当たっては、環境保護とのバランスを考慮する必要がある」と述べた。

これに対し、トンシン首相は「マスタープランは、今後、各省庁を中心に民間企業の協力も得ながら実施していく予定だ。環境に配慮し、持続性のある開発を進めていきたい。都市開発の専門家が少ないので、引き続き、JICAのアドバイスをお願いしたい」と協力を求めた。

都市も地方も、すべての人が恩恵を受ける開発を

ラオスには、いわゆるベトナム戦争の際、同国との国境周辺を中心に約2億7,000万発のクラスター爆弾が投下された。その約3分の1が不発弾として残っており、地方開発を進める上での障害となっている。すべての人が恩恵を受けられる発展に向け、都市だけでなく地方の開発も促進するため、JICAは本年5月から、不発弾処理機関への技術協力を開始する予定だ。同事業をはじめとし、今後も地方開発に積極的に取り組むことを期待したいという緒方理事長に対し、トンシン首相は「不発弾処理は、あまりにも大きな課題ではあるが、きちんと取り組んでいきたい」と応じた。

最後に、話は東日本大震災に及び、トンシン首相は、3月9日に在ラオス日本大使館で行われた追悼式に出席したことを報告し、お悔みと激励の言葉を述べた。緒方理事長は「日本、そして日本人は、東日本大震災を通じて、世界の国々が互いに助け合うことの必要性を、身をもって学んだ」とし、ラオスをはじめ、世界中から寄せられた支援に対し、あらためて感謝の意を表した。

(注1)2000年9月に国連ミレニアム・サミットで採択。貧困削減や乳幼児死亡率の改善など、2015年までに達成すべき八つの目標を掲げている。
(注2)3月20日に円借款貸付契約を締結。プロジェクト型円借款としては、2005年に契約を締結した「メコン地域電力ネットワーク整備事業」以来、7年ぶりとなる。プロジェクト型円借款には、今回の事業のように、道路、発電所、灌漑や上下水道施設の建設など、特定のプロジェクトに必要な設備、資機材、サービスの調達や、土木工事などの実施に必要な資金を融資する「プロジェクト借款」があり、円借款の大半を占める。そのほか、「開発金融借款」「セクターローン」などがある。また、ノンプロジェクト型円借款として、政策改善と制度全般の改革を支援する「開発政策借款」、外貨事情の悪化により、経済的困難に陥った開発途上国を対象に、物資の輸入決済資金を供与する「商品借款」などがある。
(注3)ASEAN共同体形成の最重要課題である地域内の格差是正のため、開発の遅れているラオスをモデルとし、その知見をASEAN加盟国で共有するため、JICA、ASEAN事務局、ラオス政府が共同で取り組んでいる。