公正な成長と貧困削減

開発途上国の貧困削減に貢献する経済社会インフラ整備、人材育成の促進
〜支援効果向上のため日本の優れた技術・人材・経験・知見を活用〜

JICAは、開発途上国のニーズの高い経済・社会インフラ(運輸、エネルギー、情報・通信、灌漑、上下水道等)の整備とともにソフト面での知的協力に取り組み、持続的成長を促進するための多層的な支援を実施しています。

支援例

バングラデシュ:カルナフリ上水道整備事業(有償資金協力)

カルナフリ上水道整備事業では、バングラデシュの産業拠点であるチッタゴン市の上水道施設の整備に加え、上下水道公社の経営改善といった組織・制度の改善にも取り組み、地域住民の生活環境の向上と投資環境の改善を支援しています。また、無収水削減が進んでいないチッタゴン上下水道公社に対して、チッタゴン上下水道公社無収水削減推進プロジェクトにより無収水削減対策の計画・立案能力や実施マネジメント能力の向上能力強化を図り、上水道整備事業による給水量の増加にも対応できる自立的で持続的な水道事業運営を支援していきます。

タンザニア:アルーシャ−ナマンガ−アティ川間道路改良事業(有償資金協力)

本事業は、「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)が推進する、アフリカ地域統合のための広域インフラ整備の重点事業として位置付けられている有償資金協力事業です。タンザニアとケニアを結ぶ国際幹線道路の改良を行い、輸送能力の増強を図り、域内経済統合推進、交易の推進を図るとともに、住民の生計向上と貧困削減を目指すものです。有償資金協力事業で道路と国境施設の整備を進めると同時に、法整備や職員研修などの技術協力を行うことで、一体的な支援を行っています。また、本事業には、出国時と入国時の審査や通関手続きをタンザニアとケニアの両国が共同で一度に済ませるという「ワンストップ・ボーダーポスト」という仕組みが導入される予定です。これにより、人や物の往来の活性化、ひいては地域経済の活性化に貢献することになります。また、本事業と同時期に融資承諾した「第4次貧困削減支援借款(PRSC4)」以降、継続して政策支援の一環として、専門家を現地に派遣し、道路セクターに対する政策提言を行い、本事業のサステナビリティを支援しています。

カンボジア:シハヌークヴィル港経済特別区開発事業(有償資金協力)

この事業は、メコン地域(タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム等)開発の一環として、過去に有償資金協力により整備されたカンボジア・シハヌークヴィル港に隣接する経済特別区(SEZ:Special Economic Zone)を整備し、投資誘致を促進する有償資金協力事業です。SEZのインフラ整備に加えて、港の運営改善等を技術協力や無償資金協力によって、またSEZに関する法・制度面の政策提言等を世界銀行等とも連携しながら支援しています。

キャパシティ・ディベロップメント

JICAでは、キャパシティを開発途上国の「目標を設定し達成していく力、自国の課題(開発課題)を発見し解決する力」、つまり「課題対処能力」ととらえ、キャパシティ・ディベロップメント(CD)を「途上国の課題対処能力が、個人、組織、社会などの複数のレベルの総体として向上していくプロセス」と考えています。JICAは、目の前の個人だけでなく、組織全体のマネジメント、さらにはその組織を取り囲む制度や社会的要因にも留意した協力を実施しています。また、CDは援助国・機関(ドナー)が「行う」のではなく、あくまで相手国の主体性に基づいたプロセスであるという考え方に立って、より途上国の自立を促進し、経済社会的に持続的な成果をもたらす事業の推進を目指しています。

支援例

インドネシア:スラウェシ地域開発能力向上プロジェクト(技術協力)

スラウェシ島の全6州において、政策決定者、行政官及びコミュニティにおけるファシリテーターを対象に、参加型の地域開発に係る研修と実践(パイロット活動)を行うとともに、その経験の共有を通じて、地域自らがその特性を活かした開発の推進を行っていけるよう土台作りの支援を行っています。

マラウイ:地方電化推進プロジェクト(技術協力)

本プロジェクトは、マラウイ政府の地方電化担当部署の事業実施能力の向上を行い、人口の8割が暮らす地方の電化事業を促進する支援を行っています。専門家チームを派遣し、配電線延伸工事の事業監理、地方電化基金の設立に伴う財務管理手法の確立、太陽光発電システムの技術監理などについてアドバイスします。

開発途上国の民間経済活動の拡充に対する支援

JICAでは、支援にあたり、投資環境整備、経済連携への貢献、外貨獲得能力の向上、インフラ支援における官民パートナーシップ(PPP)等を重視しています。

支援例

アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ

日本政府がアフリカ支援を強化すべく2005年に表明した「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA for Africa)」(注)の一環として、翌年には、セネガルとマリの首都を結ぶ国際幹線道路の建設による輸送能力の増強を図る目的で、セネガル向けにアフリカ開発銀行(AfDB)との協調融資を承諾し、その後も類似のインフラ事業向けの協調融資が実現しています。

引き続いて、2007年には初めてアフリカ開発銀行(AfDB)を通じたアフリカの民間セクター支援融資(有償資金協力)を承諾しました。これは、AfDBの域内メンバー国に登記されている民間企業等が必要とする事業資金を提供することにより、地場の中小・零細企業や民間金融機関等の育成を図り、域内における民間セクター主導の経済成長および貧困削減に寄与するものです。

(注)「アフリカ民間セクター開発のための共同イニシアティブ(EPSA for Africa)」:アフリカの民間セクター開発を包括的に支援するため、投資環境整備、金融市場の育成、社会・経済インフラ整備、零細・中小企業支援、貿易・海外直接投資の促進を、5年間に亘り支援するもので、(1)信託基金、(2)JICAとAfDBの協調融資促進スキーム、及び(3)民間企業を最終的な借入人とするJICAのAfDB向け融資の3つの手法で構成されています。

(参考)「成長加速化のための官民パートナーシップ」

JICAでは、日本政府が2008年4月に取り纏めた、開発途上国における経済成長を加速化するための新たな官民連携促進策「成長加速化のための官民パートナーシップ」に基づき、開発途上国支援を進めていきます。「成長加速化の官民パートナーシップ」の柱は以下の通りです。

  1. 政府開発援助(ODA)等について、官民連携に関する民間からの提案案件の採択、実施(官民連携相談窓口を設置)
  2. 官民連携促進のための定期的な官民政策対話の実施
  3. 途上国現地における官民連携の促進(拡大現地ODAタスクフォースの設置)