パキスタン海外商工会のお話

ここで、三菱商事の安藤さんが日本人としては初めて会頭を
務めたことがあるパキスタン海外商工会で、海外企業から眺めた
パキスタンのビジネス事情について詳しく話を聞いてみることにします。

パキスタン海外商工会は1860年設立、150年以上の歴史を誇ります。
もともと宗主国だったイギリスの企業が中心となって
構成されていましたが、現在では商工会のメンバー196社のうち、
アメリカがトップで32社、イギリス、オランダと続き、
日本企業は13社、35か国中4番目です。
商工会のメンバーも含めて、パキスタンに進出済みの
日本企業は約50社です。

パキスタン側の代表としてこの商工会の事務局長を務める
ムハマド・アブドゥール・アリームさんは、
日本企業にもっとパキスタンへ来てほしいと話します。
それは、自国の発展のためだけではありません。
日本企業のためにもなるから、と語ります。

池上「どんな業種・業界での日本企業の進出に期待されますか?」

アリーム「すべてです。パキスタンの産業はまだ発展途上ですし、これから人口も増えていきます。日本を始めとした先進国の企業は自社の強みをパキスタンに持ち込むだけで、成長が見込まれます。実際にこの商工会に所属している企業のうち、データが明らかになっている上場企業を見てみると、利益率は平均で14%にもなり、この数字は3年連続で増えています」

池上「イスラムビジネスの入り口としてパキスタンを見たときには、どんな魅力があるでしょうか」

アリーム「たとえばマレーシアがハラル(イスラム教の戒律にのっとって処理された食品)ビジネスに力を入れていますが、我々はマレーシアよりも多くイスラム人口を抱えています。これは魅力でしょう。また、マレーシアのハラル認証機関は世界のデファクトスタンダード(事実上の世界標準)になることを狙っていますが、それはパキスタンの認証機関であっても同じです」

パキスタンはGDPと同水準のシャドーエコノミー(非公式経済)があると
言われており、その恩恵を被っている国内企業との競争において
不利であるという見方もあります。
それでも、パキスタンでのビジネスは底堅い、
とアリームさんは熱を込めて語ります。

2013年6月に発足したシャリフ政権は経済成長を最重要視していて、
現在策定中の長期開発計画「VISION2025」では、
年率7〜8%の経済成長を達成すると目標に掲げています。

では、パキスタンの経済成長に穴はないのか?

商工会がとったアンケートによれば、パキスタンでビジネスを
展開するにあたっての不安要素は、政情不安、エネルギー不足という
回答が上位を占めています。

政情不安に関しては、いまだにテロが横行し、
私たちも北部を取材する際は常に現地警察の先導が必要でした。
一方、エネルギー不足という現実的な社会問題については、
常にパキスタンの指導者層の頭を悩ませています。

たとえばパキスタンはとっても停電が多い。
頻発する停電のせいで、おそらくGDPの2〜3%を失っている、
という試算もあります。さらに電力普及率はいまだに40%台。
先進国化の第一歩は電力をはじめとするインフラの整備です。
そのインフラ整備のお手伝いをしているのが、実は日本でした。

日本が手がけたインフラ整備の実態を次回はお伝えしましょう。

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