ベトナム編 「あの戦争」を超えてベトナムが先進国になる日

2015年10月4日夜明け。

私は、ベトナム南部の大都市ホーチミン市に降り立ちました。

人口約800万人。かつてサイゴンと呼ばれたこの都市は、ベトナム経済の中心地です。

空港から自動車で宿泊先へ向かいます。着いたのはホテル・マジェスティック。ゆったりと流れるサイゴン川のほとりに建つ実に趣のあるコロニアル風のホテルです。

このホテル、ベトナムの現代史をじっと見つめてきた生き証人です。

フランス植民地時代に建造され、西欧人の社交場となりました。日本が同地に進駐していた一時期は日本により管理され、「日本ホテル」とも呼ばれていました。

作家開高健も、1964年、このホテルからベトナム戦争の戦地に赴き、死にそうな目に遭いながら日本に生々しいレポートを送ったのです。

いま、ホテル・マジェスティックの前には、平和で活気ある空気が流れています。ちょうど朝の通勤時間。行き交う自動車は、日本車もあればドイツ車もあれば韓国車もあればフランス車もある。車の間を無数のバイクがすり抜けていく。

1975年にベトナム戦争が終結して今年で40年。21世紀に入り、日本をはじめ世界中の企業がベトナムに注目しています。

インドシナ半島の南部海岸線にずらりと並んだ、ASEANにも加盟する4カ国。その4カ国をひとつの回廊=道路で結び、新しい経済圏をつくろうという試みが、日本のODAを活用しながら進められています。

これまでばらばらに発展してきたASEAN諸国。南部経済回廊がどんな未来をもたらすのか。このホテル・マジェスティックをスタート地点として、これから1200km、陸路の旅の始まりです。

その長旅の前に、ベトナムの経済の今を多面的に追いかけてみましょう。